横審が誕生したのは1950年

 また「日刊スポーツ」が報じたところでは矢野委員長は、「問題意識は(委員の)共通したもので横綱は立派であってほしい。休場しても地位が守られているのは国技の象徴であるから。横綱は特別な地位であり、権利だけでなく義務も伴う。ほかの力士より一段と高い自己規制の基準を持つべき」と言ってるようだが、そもそも国技ではないということを、そろそろ横審もきちんと本など読んで調べ、理解してから委員会に出席してほしい。

 八角理事長も、千秋楽の協会ごあいさつで「日本古来よりの伝統文化である大相撲」と言っていて、国技なんて言ってない。丁寧な説明義務、また委員としての地位にあるなら勉強してほしいのですが? と、いち相撲ファンとして心から願う。

 そもそも横審という制度、江川さんのおっしゃるとおり、すでに時代遅れなのではないだろうか? 

 横審が誕生したのは1950年。当時の3横綱が途中休場、その直前にはもう一人の横綱が引責引退していた。そこで生まれたのが横審だが、当時、相撲界に多大な影響力を誇ったジャーナリストの彦山光三氏は自著『横綱伝』の中で「大相撲協会は東京相撲記者クラブ員を招いて、横綱審議会の設置に関する懇親会を催した。むしろクラブ側の強い要望をこばみきれなかったためでもあったかもしれない」と、記者クラブからの要望で誕生したことを臭わせている。また、規約の基礎案はその彦山氏が考えて協会へ提出したことも記されていて、70年前にいちジャーナリストが出した規約に基づく組織に、今の横綱が縛られないといけないのだろうか?

 だいたい横綱は負け越したら引退となる。そんな、今どきの若者たちが果たしてその地位に就きたいだろうか?と、ときどきいぶかしく感じる。重責を背負う横綱である人を、さらに追い込むような審議委員会。そろそろ廃止してもいいんじゃないか? と感じる。稀勢の里だって、横審がなかったら、もしかしたら何か違ったんじゃないかと、今さらながら考える。

 また今の横審には女性がひとりもいない。昔の横審といえば作家が多かったが、横審制度を今後も継続するなら、作家の女性委員を望みたい。たとえば能町みね子さんや乃南アサさん、北大路公子さん、それにツイートを紹介した江川紹子さんなど、どうだろうか? 委員の半数は女性であるべきだ。

コロナ禍の開催となった、令和2年の大相撲九月場所。館内ではマスク着用の札があちこちに(著者撮影)
コロナ禍の開催となった、令和2年の大相撲九月場所。館内ではマスク着用の札があちこちに(著者撮影)
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 今場所もコロナ禍に於ける特別な場所だった。7月場所と変わらず厳しい観客数制限が設けられ、ソーシャル・ディスタンスに気をつけること、常にマスク着用、声援は禁止で、拍手と力士の名前の入ったタオルを持つのみで、携帯アルコール消毒薬が配布され、cocoaのダウンロードが推奨されていた。私も7月場所よりはゆっくり見たが、それでも何度も手を消毒したり、友人と話をするのもいちいち廊下に出てからだった。