物的証拠を出せない理由

 実際、裁判でも同誌編集長が《書面での証拠はありません。お金の振り込み用紙など入手できなかった》と認め、関係者の“証言”だけを証拠としているのだがーー。

“間違いなく裏口入学しました”と証言できる人物がいるとすれば、それは実際にお金を渡した人か受け取った人くらいで、前者の三郎さんはすでに亡くなっていますから、ならば後者しかいません。取材は情報源の秘匿のもとで成り立っているのであって、ネタ元が“じゃあ、新潮社さんが不利だから証言しますよ”とは名乗り出ないでしょう(苦笑)。仮に今後、その人物が物証を手に証言台に立てば、記事は正しいと覆されるかもしれませんが……」(前出・佐々木氏)

 2018年の記事掲載の翌週、週刊新潮は第2弾として《笑い飛ばせばそれで良かった「太田光」の日大問題》なる記事を載せた。激怒する太田に再反論するのかと思いきや、一転して《誰かを傷つけ貶めなければ、社会の潤滑油の一種、世の習いと言えよう》などと、裏口入学を擁護するかのような内容を展開したのだった。

「さも、“芸人なら怒らないで笑ってすましてよ”と、誌面からは訴訟を持ち出されて焦っているようにも読み取れました。普段はタブー知らずの笑いをブッ込む太田さんですが、ことお父さんに関しては笑いで済ませられなかった。ここまで騒動が大きくなることは新潮さんも想定外だったことでしょう。

 それと実は“裏口入学”ネタは2000年3月、爆笑問題が『ナインティナインのオールナイトニッポン』にゲスト出演したときに大学試験の話題になって、太田さんが“受かった、裏口だもん”とボケているんです。まさか、そのネタが回り回って新潮さんに届いた、というオチではないとは思いますが(笑)」(芸能プロ関係者)

 裁判はこの日で結審。12月21日の判決次第では今後、上級審で新潮社から“確たる証拠”が出る、のだろうか。