『いのちの電話連盟』事務局に、現状について聞いた。
「緊急事態宣言下で多くのセンターが休止を余儀なくされました。宣言解除後も、コロナ以前の状態には戻りきっていません。相談員はボランティアで成り立っています。高齢の方も多く、相談員の役目を果たしてほしい、と強制することはできないんです」
報道で伝えられる電話番号は、実は全国のセンターで対応している。
「1つ目のセンターが取れなければ次、2つ目が取れなければその次と、全国のセンターにつないでいます。ナビダイヤルでの受付は午後10時までですが、センターごとに受付時間が違い、24時間やっているところもありますからいつでも電話はしていただけるんですよ」(事務局)
しのだの森ホスピタル理事長で精神科医の信田広晶さんは、コロナ禍に自殺報道が重なる状況に危機感を持つ。
「今はまだ“頑張ろう”“コロナに立ち向かおう”という気持ちを持っている方が多いでしょう。ですが、心配なのは“コロナ疲れ”。時間がたつにつれて限界を超える人々が増え、うつ病になる人が多くなってくるのではないか、と危惧しています。実際に8月くらいからうつ状態で来院される方が増えてきています。自殺報道で抑うつ状態が強くなる人もいます。竹内結子さんの報道を聞いて調子が悪くなり、われわれの病院にうつ状態で入院した方がもうすでに何名かいらっしゃいます」
季節的にも、気が滅入る要素が増えていく。
「秋になると次第に日照時間が短くなります。夕方や夜は物悲しくなる時間帯です。夜の時間帯が増えてくると、人は孤独感や不安感を感じやすくなります。秋から冬は特に注意したほうがいいですね。コロナに気をつけながらも、ある程度は外に出てコミュニケーションをとっていくことが大切でしょう」(信田さん)
テレビや映画で親しんでいた芸能人の姿が消えたことは悲しい。でも、人々がそれを乗り越え強く生きていくことを彼らも望んでいる。
もしもの時の主な電話相談窓口
「いのちの電話 ナビダイヤル」
電話0570-783-556 受付時間:午前10時~午後10時
※時間外でも、24時間相談を受け付けている全国のセンターに居住地を問わず連絡できます。
「こころの健康相談統一ダイヤル」
電話0570-064-556 受付時間は都道府県によって異なります
「よりそいホットライン」
電話0120-279-338 受付時間:24時間対応
(岩手県・宮城県・福島県から電話0120-279-226)