パワハラもひどかった

 声を震わせながら、Aさんが続ける。

「大学のレポート提出にかこつけて学生の電話番号を入手し、休日に女子学生に“会おうよ”と電話をかけていたのが気持ち悪かった。当時、妻もいたはずなのですが」

 ひどかったのはセクハラだけではなく……。

パワハラもすさまじかった。授業で作品の品評会をしていたときに、気に入らない学生の人格を否定する言葉をひたすら浴びせかけていました」(Aさん)

 それらがトラウマになり、ある女子学生は容疑者を見ただけで過呼吸を起こし、精神的に取り乱してしまうほど追い込まれ、結局、大学を辞めてしまったという。

 当然、学内では問題になっていたようで、

「学長や職員とも衝突が多かった。最終的には大学の契約が更新されなくなり、それで職を失い家業のホテルを継いだようです」

 容疑者はこの時期に当時の妻と離婚しているが、あきれたことにセクハラは最後まで続いたという。

「退職する際、お気に入りの女性の助手に“一緒に鹿児島でホテルを経営しない?”と声をかけていたようです。鹿児島に帰ってからも、当時の学生にしつこく電話をかけていました」(Aさん)

 昔から“危険人物”だった容疑者だが、両親は事件についてどう思っているのか?

 実家を尋ねると、かつて若女将としてホテルを支えてきた母親が対応してくれた。

実家の敷地はもともとホテルの前身である「御旅館・田原迫」が立っていた
実家の敷地はもともとホテルの前身である「御旅館・田原迫」が立っていた
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「息子がなぜ、このようなことをしたかは、私たちも本当にわからないんです」

 沈痛な面持ちで語りだす。

「息子の嫁は、子どもを連れて実家に帰りました。これだけ世間にご迷惑をおかけしてしまい、私たちももう、指宿を出なければならないかもしれません……」

 家族や従業員など、多くの人を不幸のどん底に突き落とした容疑者。罪を償うだけではとてもすまされない。