相談を受けた翌日、Aさんの自宅を訪れると愛猫と共に出迎えてくれました。その猫はチャッピーという名前がつけられたメインクーンの男の子でした。しかし、歩く姿はヨロヨロで今にも倒れそうです。触ると全身が毛玉だらけで、体もガリガリにやせています。
抱き上げると、とてもメインクーンの成猫とは思えない軽さ。十分な世話もしてもらえず、まだまだ成長期であるというのに満足のいくご飯ももらえていないことがすぐにわかりました。持参したフードをチャッピー君の前に置きましたが、匂いを嗅いだだけで食べようとはしませんでした。
その様子から緊急性があると判断し、まずは私が引き取り、しっかり健康診断をして、体調が整ったら里親募集をしたらどうかと提案しました。するとAさんは「自分のことで精いっぱいなので、よろしくお願いします」とすんなりと同意してくれました。
すぐにチャッピー君を連れて帰り、動物病院で診察を受けると、衰弱していることに加えて、軽い熱中症の症状、腎臓の機能も低下していたため、回復するまで入院が必要との診断を受けました。猛暑であるにもかかわらず、Aさん宅のエアコンは稼働していなかったためです。
「もう数日遅かったら確実に命を落としていたかもしれないね」と獣医師は言います。チャッピー君の状態にまだ不安はあるものの、最悪の事態になる前に保護できたことが何よりの救いでした。
「100万円を超える」犬猫の飼育費用
犬や猫の世話にかかる費用は決して安価ではありません。たとえローンで購入できたとしても、その後の飼育用品、フード代、予防接種代、医療費など生涯に必要になる費用は大きなもの。冒頭の調査結果によると、犬の生涯必要経費は超小型犬が最大で220万1448円、猫は139万1199円とされています。
超小型犬の場合は平均寿命15年とすると1カ月に約1万2200円、猫の場合は平均寿命15年とすると約7700円かかる計算になります。もし病気やケガをして医療費がかさめば、それ以上の出費となるでしょう。