ごはんは常温で1時間冷ます

 先に述べたとおり、レジスタントスターチは加熱した炭水化物を冷ますことで増える成分なのだが、冷ます方法によっても、その含有量に違いが出る。

「例えば白米の場合、炊きたてごはんのレジスタントスターチ含有量が100とすると、常温で1時間冷ますと157まで含有量がアップ。冷蔵だと6時間冷ましても140程度、冷凍の場合は124程度しか上がりません」

 つまり、ごはんのレジスタントスターチ含有量を最も効率的に上げるには、常温で1時間ほど冷ますのがベスト。また、1度冷めたごはんを電子レンジで再加熱すると、その含有量は減少するが炊きたてごはんよりは含有量が多い。

 うどんやパスタなどの麺類も、冷製メニューを選んだほうがレジスタントスターチをたっぷりとれる。

「特にパスタの場合、乾麺をアルデンテにゆでるとたくさんのレジスタントスターチが摂取できます。うどんや中華麺も、ゆですぎるとその含有量が減りますから、かためにゆでてから冷水でしめて、つけ麺やざるうどんなどにするのがおすすめです」

 パンにもレジスタントスターチは豊富。ただし、腸内環境のことを考えると主食はごはんに軍配が上がる。パン食なら全粒粉のパンを焼かずに食べるのがおすすめだそう。

 レジスタントスターチには腸活効果だけでなく、ミネラルの吸収を高めて骨粗鬆症を防いだり、血糖値の上昇を抑えて糖尿病を防ぐなどの健康効果も認められているそう。毎日のごはんをちょっと冷まして、健康長寿を目指そう!

■炭水化物の食べ方Q&A

Q. 1日にどれくらい摂取すればよい?
A. まずは1日1食から!

 冷ましたごはん1人前には約1gのレジスタントスターチが含まれる。日本人の食物繊維不足量は、女性で1日4g、男性で7g。それを補うだけ摂取できれば理想的だけれど、いきなりだと大変。まずは1日1食から始め、健康を実感できたら少しずつ量を増やしてみては。

Q. 主食以外で手軽なレジスタントスターチメニューは?
A. ポテトサラダがおすすめ

 ジャガイモはもともとレジスタントスターチを豊富に含む食材なうえに、冷まして食べると含有量が格段にアップ。小鉢に軽く1杯くらいのポテトサラダで、ごはん茶碗1杯分と同量のレジスタントスターチがとれる。

Q. 常温で冷ますのは衛生的に大丈夫?
A. 1時間の放置なら問題なし

 季節を問わず、1時間程度の放冷であれば食中毒などの心配はないと考えて大丈夫。ただし、気温にもよりますが常温で長時間保存するのは危険。ごはん以外のおかずなどは、傷みやすいものも多いので注意してください。

【健康長寿県の県民はレジスタントスターチをたっぷりとっている!?】

 厚生労働省の調査による「健康長寿県」第1位の山梨県は、寿司店店舗数が全国第1位、そば・うどん店店舗数が全国第4位であるというデータがある。また第2位の静岡県の場合は、米の消費量が全国1位で、ジャガイモ消費量が全国3位。「これらのデータを見ると、健康長寿県ではレジスタントスターチをたっぷり含んだ炭水化物を他県より摂取している可能性が高いことが予測できます」(笠岡先生)

(構成・文/中村明子)


《PROFILE》
笠岡誠一先生 ◎文教大学健康栄養学部教授、管理栄養士。専門分野は栄養学、食品化学。レジスタントスターチに早くから注目し、レジスタントスターチを増やした「ハイレジ食」の開発も行う。
 

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【写真】“ハイパー食物繊維”ことレジスタントスターチが多く含まれる食品をグラフ形式でご紹介!