親と同居する選択肢『経済的にも……』
“子ども部屋おじさん”。その呼び方について独身研究家の荒川和久さんは、
「独身男性を揶揄する言葉で、“いつまでも子どものままで親元から離れられない”“自立できないおじさん”という蔑称。実際は子ども部屋おばさんも同じ割合がいるのに、おじさんなら叩いてもいい、という風潮の表れとも言えます」
かつて話題になった「パラサイトシングル」と同様で、世の中では「子ども部屋おじさん」に批判的な風潮があるとみる。
「実家で暮らす未婚を自立心がないとか、一方的に決めつけて、悪のように叩く人たちがいます。未婚の実家暮らしは何も特別なことではありません。もともとは結婚するまで親元に住むのは標準でした。それに経済的なことや介護で同居を避けられない人もいます」
「子ども部屋おじさん」を攻撃する人は、自分の安心のために攻撃できる対象としての「生贄」を常に探しているとも言えるのではないか。
「確かに生涯未婚率は増えていますが、みんなが親に依存しているわけではありません。経済的に自立している人はいますし、実家なら経済的にもプラスの面もあります。家にお金を入れても、ひとり暮らしするよりも割安です」
実家から出て暮らしていても今後、経済的な理由や親の介護で実家に戻る選択をせざるをえないケースも増えることが考えられるという。
「“息子がまだまだ実家にいて”と心配する人や“結婚していないと一人前じゃない”という人もいますが、そんなことはありません。ひとり暮らしや結婚していても親から援助をしてもらっている人もいます。状態だけでその人を判断することはよくないです」
親も高齢化する中、時間は限られている。その時間を一緒に過ごせる、同居という選択肢も決して悪いものではないはずだ。
荒川和久(あらかわ・かずひさ)
ソロ社会及びソロ男女を研究する独身研究家。独身生活研究の第一人者として、「結婚滅亡」など著書も多く。メディアにも多数出演
ソロ社会及びソロ男女を研究する独身研究家。独身生活研究の第一人者として、「結婚滅亡」など著書も多く。メディアにも多数出演