俺の子を産む女としか、付き合わない
ビッグダディといえばご存じ、子だくさんのお父さん。大家族の大黒柱だ。
愛嬌ある気のいいおじさんにも見え、なんだかやっぱりただ者ではないコワモテにも見える。それは、テレビに出ているときからだった。
「ダディはやっぱり、女好き、セックス好き、子ども好きなんですよね」
こちらが、すごくストレートに質問してしまったこともあるのだが。
この質問はダディも、何万回とされてきたことであろう。そこにはうんざりした様子も、待ってましたという気負いも、ルーティーンをこなす物慣れた態度もなかった。
「俺は、遊びで女と付き合えないんですよ。俺の子を産む女としか、付き合わない。つまり俺とのセックスを、拒まない女ですね。となると、結婚するしかないし、父親になるしかないでしょう。子どもをつくるとき、俺が嫁の排卵日を計算するんです」
それでもさすがに、付き合った女みんなと結婚、とはいかなかったので、それは単に縁があるかないかだともいう。
そして結婚した相手はあくまでも「俺の嫁」で、血のつながらない子たちは、その人を母親と呼ばなくていい、ともいい切る。
「だから、女好きセックス好き子ども好きじゃないですよ」
なんか、むちゃくちゃをいっているような気もするし、しごく真っ当なことをいわれているような気もしてくる。
最初の奥さんが産んだ子の一人が、二番目の奥さんである美奈子さんについて快く思わないこともあった、というのを告白しているが、
「父がまた結婚するとしても、父が選ぶ人なら誰でもいいですよ」
などと、冷めているようで親の考えをしっかり受けついでいるところも見せている。
「俺が絶対に正しい、とは思っていません。俺について来いよ、っていうだけのことで。俺をおかしいと感じるなら、大人になってから考えて軌道修正すりゃいいだけだよ」
実は以前にもテレビ撮影現場でお会いしているのだが、そのときはものすごい数の出演者がいて、二人で会話する機会はなかった。
あ、ダディだ。テレビで見るまんまだ、と思ったことしか覚えていない。
だから、9月の半ばにビッグダディが店長を務める江東区の居酒屋に仕事でうかがったときが、実質的な初対面といえる。
それにしても、ダディの店は実にダディの店だった。もちろん掃除は行き届いているし、くつろげる雰囲気だ。酒瓶の棚、厨房、お客さんのテーブル、整理整頓されるべきところは、みなきちっとしている。
なんといっても、可愛いお嬢さんにしっかりしたお坊ちゃん、そして髪も肌もつやつやの愛くるしいお孫さんが店の隅でニコニコしている。
「そんなべたべた溺愛じゃないけど、やっぱり可愛いよ。この孫たちだって、避妊してたら存在してないんだからねぇ」