コロナの影響で変わった“家族の形”
離婚して次のステップに進んでよかった、という人もたくさんいるという。
「最初に結婚した人が一生でいちばんピッタリくる人かといったらわかりません。その後に出会った人のほうが大切にしてくれる、幸せになれるということもあります。離婚は悪いことばかりではないです」(前出・同)
離婚しやすくなることはプラスに働くこともあるというのだ。苦しみながら婚姻関係を続けるより、簡単な手続きで離婚できれば次の人生に早く進むことができる。前向きな離婚も人生の選択肢のひとつになる。
「コロナで家族の形は変わってきました。同じ屋根の下で暮らしていることが幸せ、という従来の考え方だけでなく、同居していなくてもこのパートナーが大切と考え、お互いを尊重する夫婦関係でもいいのではないですか」(同)
一緒に暮らしていてもDVがあったり、喧嘩や浮気が絶えない夫婦も少なくない。岡野さんは離婚よりも結婚するときのほうがきちんと考えて届け出を出す必要があると訴える。
「婚姻届にハンコが不要になり、オンライン化することで、結婚する人も増えるかもしれません。でも、結婚こそきちんと手順を踏み、心構えを持つことが重要です」
前出・高橋さんも訴える。
「役所の書類の中には廃止したほうがいいハンコもあると思いますが、離婚届に捺印する2つのハンコとそれは重みが全然違います。たとえ認め印だろうと、結婚、離婚のハンコは自分たちの人生をかけた凝縮したひと押しです。
脱ハンコは窓口の業務改善をするだけの話だけではありません。結婚の重みを考えたうえで廃止する必要があるのか、十分に議論しなくてはいけません」
永田町の机の上でハンコを押す前に、まだまだ話し合わなければいけないことはたくさんあるようだ。
吉村和貴さん……弁護士。弁護士法人法律会計事務所さくらパートナーズ所属。離婚・不倫、夫婦問題、労働問題などを得意としている
小竹広光さん……行政書士。東京中央法務オフィス代表。離婚や不倫、夫婦問題などに詳しく、刑事事件の告訴状なども手がける
高橋知子さん……夫婦問題カウンセラー&ライフサポートアドバイザー。高橋知子横浜相談室代表。夫婦・家庭問題を専門に相談にあたる
岡野あつこさん……夫婦問題研究家。日本家族問題相談連盟理事長、岡野あつこの離婚相談救急隊(R)代表。相談の傍らメディアにも多数出演