「それだけ結婚に前向きなのはわかるんです。でも、その相手は僕なのかなって。相手は誰でもいいから、“結婚”というものがしたいんだと思ったんですよ。まだ2回しか会っていないので、お互いの人柄を知る時期。結婚ってある意味、男が責任を取ることだし、家族を生涯守っていくこと。勢いも大事だけれど、そう簡単には決められない。それなのに、“結婚”という言葉を連発されると、どんどん隅に追い詰められて、逃げ場がなくなるような気持ちになります。一緒の時間を過ごすのが、だんだんと苦しくなっていきました」
史子さんは、お料理が好きで、お菓子作りも好き。結婚したらきっといい奥さんになるタイプでしょう。子どもができたら、おやつを手作りするやさしいお母さんになるでしょう。ですが、“結婚する気満々”で出会ったばかりの男性に接すると、お相手はそれを受け止めきれなくなります。
お見合いは、結婚を前提とした出会いなのですが、おつきあいがスタートしたばかりのときは、“自分の人柄を知ってもらう”という気持ちで、楽しい時間を過ごすように心がけたほうがいいのです。
まずは、彼の気持ちをこちらに向かせることを考える。男性が女性を好きになったら、自然と結婚という言葉を出してきて、話も進んでいくはずです。お見合いは、結婚を前提にした出会いなのですから、相手の気持ちが手に入ったら、その先には結婚しかありません。男性を動かすように、見えない所で操作することが大切です。
こっちにくる“圧”がすごくて
逆のパターンで、男性が結婚に前のめりになりすぎるのも、失敗をします。
「やっぱり正之助(仮名、52歳)さんは、お断りでお願いします。この年齢になって贅沢(ぜいたく)がいえないのはわかっていますが、こちらに来る気持ちの“圧”がすごくて、息苦しくなってきました」
美貴さん(51歳、仮名)から連絡がきました。美貴さんは、35歳から47歳までの12年間、結婚をしていました。元夫も結婚相談所で出会った男性でしたが、結婚してみたらキレやすい人で、キレるとモラハラ男に豹変していたというのです。
「元夫からは、“このバカが”とか“この能無しが”とかすごい暴言を吐かれていたので、47歳でやっと離婚できたときには、もう結婚は懲り懲りと思っていました」
子どもにも恵まれなかったので、離婚後は仕事を充実させ、ときには気の合う仲間と食事や旅行に出かけて、独身を謳歌していました。ところが、今年に入ってからのコロナ騒動。緊急事態宣言期間中には誰にも会うことができず、孤独を感じて、“再婚したい!”と強く思ったのだそうです。
そして相談所での婚活をスタートさせ、3回目のお見合いでお会いしたのが、バツイチの正之助さんでした。彼も前の結婚相手とは、結婚相談所でお会いし、3年間の結婚生活の末に離婚したといいます。
「離婚理由をお聞きしたら、元奥様は、私の元夫に似たタイプでした。すごくヒステリックな人で、ちょっとしたことでも声を荒げて怒っていたとか。正之助さんが、『キレたり怒ったりすることで、何も解決しませんよね』とおっしゃったのが印象的でした。私も再婚するときには、“怒らない人”を探そうと思っていたので、出会ったときから好印象でした」
こうして、2人の交際は成立。ところが、おつきあいに入ってみると、優しい方なのは理解できたのですが、そこに度のすぎるものを感じるようになりました。