セクハラ被害を訴えたら
暴力行為で口止め
Aさんはかけつけた救急車で病院に搬送され、なんとか一命をとりとめたものの、その出来事は加奈さんの心に大きなショックを残しました。
その後、警察署に迎えにきたCに誘われ、帰りがてら食事をすることになったという。
「そこでCから酒を執拗に勧められました。“こんな状況なので遠慮します。お酒も弱いので”と何度断っても、聞いてくれなくて。これ以上、上司の勧めを断るわけにもいかず、仕方なく少しだけお酒を口にしたのですが、長時間、聴取を受けて疲れていたこともあり、すぐにフラフラになってしまいました」
そんな加奈さんをCは「寮まで送るよ」と、介抱するような素ぶりで部屋に入り込んだ。そして持ってきたお酒を一人で飲み始めたかと思うと、いきなり彼女の胸を触り、さらに洋服の下へ手を入れてきたと言う。
「私は必死に抵抗し、“これは悪いことですよね!?” と問いただしました。驚いたCは手を止め、罰が悪そうな表情で部屋を出ていきました」
肉体的、精神的にも弱った彼女の状況につけこむ、なんとも卑劣な行為。加奈さんは転落事故と身体を触られたショックで、それらを思い出すたびに、夜な夜な吐くようになったと言います。
事故から4日後、Aさんの荷物を寮へ取りにやってきたCと顔を合わせることになった加奈さん。
「そこで私は彼の前に立ち“あの日のことをしっかり、謝罪してほしい”と言いました。
でもCは、“はあ?”としらばっくれた様子で……。泣きながら“事故当日の夜、私にしたことを謝罪して下さい!”と食い下がると、急にCは怒り出し、公衆の面前で私の胸ぐらをつかんだまま、6階の部屋までひきずっていきました」
部屋の中に加奈さんを押し込むと、「ふざけんな!」とCは激昂。そして、彼女を投げ捨てるように突き放し、部屋を出ていったのです。
「私は一連の出来事を人事部にも伝えました。でも“ほかのスタッフにも迷惑がかかるから、仕事を休むように”と言われて。その後は、仕事もないまま部屋にこもっていました。一人で悩む日が続き、髪の毛はどんどん抜けていって。最終的に、一方的に寮への入居を打ち切られ、自己都合扱いの退職に追い込まれました」