なぜ陥没したり地中空洞ができるのか
1つめの地中空洞が見つかった直後、NEXCO東日本は記者会見や住民説明会を開いている。しかし、道路陥没や地中空洞と工事との因果関係については「調査中」と繰り返すにとどまったため、怒りを爆発させる住民もいたという。
そう言われてしまうと、同社側が12月中旬をめどにまとめるとしている調査結果と分析を待つしかなくなる。詳細なデータの開示とそれが意味するところの見解が示されないと疑問のぶつけようがないからだ。
そもそも、なぜ道路が陥没したり、地中に空洞ができたりするのか。
環境史と土地開発史に基づく災害リスクマネジメントを専門とする立命館大学・環太平洋文明研究センターの高橋学特任教授は「実は工事のある・なしに関わらず全国的によく起こる事象ではあります」とした上で次のように話す。
「ニュースとして報じられないだけで、全国的に道路陥没は頻繁に発生しています。例えば地中の上・下水道管が経年劣化や地震の揺れなどにより破損し、そこから水が漏れ周囲の土を流して空洞ができる。あるいは土に含まれる水分の変動によって先に空洞ができ、周囲の水道管などが地中で宙ぶらりん状態に置かれて破損を招くケースもあります」
国土交通省道路局の最新データを調べてみると、2018年度の道路陥没発生件数は直轄する国道だけで128件。県道など都道府県管轄では1324件あり、市道など市町村管轄では9621件あった。これらを合算すると年間1万1063件にのぼる。17年度の年間計は1万634件、16年度は1万2334件だった。
18年度の陥没要因として最も多かったのは道路排水施設に起因するもので、次いで上下水道管や電力・ガス・通信管など。原因不明の件数も少なくない。
同省の担当者は、
「例えば道路脇の側溝が壊れた場合、道路下の土砂がどんどん側溝に吸い込まれ路面の下に空洞ができたりする。水道管に穴が開いたり、折れて地中に異変が生じることもある」
と具体例を挙げる。
トンネルに限らず、地中には私たちの生活を支えるさまざまなインフラ基盤が整備されている。こうしたライフラインが壊れたときは陥没リスクが高まると考えてよさそうだ。