事実関係をまとめて、相談の際に証拠提出
では万が一、私たちが被害に遭った場合、どのように救いを求めればいいのか?
前出の沼沢さんいわく、
「警察に電話で相談してみたいという場合は、生活安全総務課に相談をしてみてください。相談の際は証拠を集めることも大事ですね。例えば、被害者のスマホに残された加害者からのメールや電話の履歴も立派な証拠になります」
抱きつきやぶつかりなど、物的証拠がない場合でも何時何分に何が起きたか、言われたのか、事実関係を書面にまとめるのもアリだという。
「ただ、“警察なら黙って捜査してくれて当たり前でしょ”と横柄な態度を取られたら、ヤル気をなくしてしまう。過度な権利意識をふりかざすのは控えたほうがいいですね」
前出の杉浦弁護士は、次のようなアドバイスをくれた。
「“嫌な思いをしている”と訴えるだけでは警察も動けません。可能なら、自分で法や条例を下調べして見当をつけたうえで相談してもよいでしょう。法的な根拠を被害者みずからが示すことで、警察の発動を促せるかもしれません」
今はネットで、軽犯罪法や各自治体の迷惑防止条例の内容を気軽に見ることができるので、頭の片隅に入れておいてもよさそう。
「また被害者が泣き寝入りしないためには、民事で訴えることも可能です。民法の定める不法行為として損害賠償請求をすることができます。
なかには“お金を請求するのは卑しい”と思う人もいるかもしれませんが、怖い思いが消えることはないわけで……。法律は金銭に換算して救済する方法しか認めていないのです」
心に受けた傷を回復させるためには、「全国には、警察や自治体によるワンストップの被害者相談センターが設置されています。内容によっては、専門の機関なども紹介してくれますよ」(杉浦弁護士)