涙なくして視ることはできなかった。

 単身で働く女友達の何人かは、つらくて見続けることができず、途中でテレビを消したという。

女性の自殺者が昨年同月比で82.6%増

 12月5日に放映されたNHKスペシャル『コロナ危機 女性にいま何が』だ。番組が終了したあとも、登場した女性たちの言葉が胸に刺さって、うずくまりたいほどの痛みと、そして国に対する激しい怒りで眠れなかった。

 私は『つくろい東京ファンド』という生活困窮者の支援団体でボランティアスタッフをしている。ホームレス状態の人たちを福祉に繋げ、一緒にアパート探しをしたり、生活上のよろずお手伝いをするのが仕事だ。

 4月、新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、東京都で休業要請が発令され、それまでネットカフェで寝泊まりしていた若い人たちが一斉に行き場を失った。そんな人達の「助けて!!」に応え、私たちはもう8か月も都内や近隣県を駆け回っている。

 その様子の一端を、フリーライターの和田靜香さんが『新型コロナ福祉のダークサイド、ネットカフェ難民が追いやられた「本当の行き先」』『東京都「ネットカフェ難民」のホテル提供を出し惜しみ、消えた3349人の行方』という記事にしてくれ、大きな反響を呼んだ。

 2008年のリーマンショック時に仕事と家(寮)を失った人たちは、製造業に勤める「景気の調整弁」とも表される非正規の人たちで、男性が圧倒的に多かった。

 しかし、コロナはまったく別の業種に壊滅的なダメージを与える。

 それは女性の働き手が圧倒的に多い、ホテルや飲食、サービス業だ。リーマンショックの一時的な不景気と異なり、まったく終息の兆しが見えない長い長いスパンで、彼女たちに打撃を与え続けている現実。公的な貸付や給付金を受けながら、なんとか持ちこたえていた人たちも力尽きはじめている。事態はよくなるどころか、コロナが長引けば長引くほど悪化していき、特に女性の置かれている状況は深刻だ。

 その深刻さを裏打ちするのが、今年10月の自殺者数2153人。うち女性自殺者数は851人なのだが、去年同月比でみると、なんと82.6%増だ。ただただ、呆然とする。