“本当のスター”の脇で
もしかしたら“事件顔”とでもいうものがあるのだろうか。その点では、荒川良々(46)も似たタイプかもしれない。ただ、どちらも小太りキャラを振られがちだが、荒川の場合、丸顔によるイメージが先行してしまっているようだ。
'15年公開の映画『予告犯』で犯人グループのひとり・メタボを演じた際には、監督が「太っていなかったことにビックリしました(笑)」と現実の姿に戸惑ったほど。腹部に綿を巻くなどの工夫をしたという。
さて“顔が命”系のラストは黒田勇樹(38)。美少年だが、どこか妖しい顔立ちで、ドラマ『人間・失格~たとえばぼくが死んだら』(TBS系・'94年)などで異彩を放った。
その後、有名子役だった人にありがちな自分探し的葛藤にハマり、いったん引退してバイト生活を経験。現在は監督や脚本、美術もこなすマルチクリエイターとして活動中だ。
現在放送中の朝ドラ『おちょやん』に出演の楠見薫(53)。初登場した日にはネットで「待ってました!」という声が飛んだ。役柄は、ヒロインを指導する女中頭。実は彼女、『あさが来た』('15年)や『わろてんか』('17年)でも女中を演じている。朝ドラの女中といえば、この人なのだ。
そんなひとつの役を極めている人はほかにもいる。『SP 警視庁警備部警護課第四係』など刑事モノで主役の同僚などを得意とする野間口徹(47)もそうだ。そういう姿を見慣れているため、5年前に車のCMで高畑充希(29)を相手に「めんどくさい男」を演じていたときは新鮮に感じたものだ。
かと思えば、たったひと言のセリフで20年近く生き残ってきた人も。ドラマ『HERO』(フジテレビ系・'01年)でバーのマスターを演じた田中要次(57)だ。何を注文されても「あるよ!」と答える姿で一躍注目された。
本人は一瞬、スターになれたと感じたようだが、テレビではこんな思い出話も。
「木村(拓哉)さんと松(たか子)さんが店の中で撮影しているところを、何十人ものファンが外からのぞき込んでるのを見て、こういう人たちが本当のスターなんだと思い知りました(笑)」
最近は『ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z』(テレビ東京系)でもおなじみ。宿泊交渉をしてうまくいったときに、旅のパートナーたちに向かって「あるよ!」と言うのがお約束になっている。
田中ほどでなくても、大ヒット作で当てた一発は大きい。『101回目のプロポーズ』(フジテレビ系・'91年)で武田鉄矢扮する非モテ男の恋敵だった長谷川初範(65)も、その余韻でおいしい思いを味わった。
この作品ではカッコよくピアノを弾いたが、その後、朝ドラ『純情きらり』('06年)でもヒロインにピアノを指導する役で登場。実は、名前の音読みがショパンになることから、芸名を“長谷川ショパン”にしていた時期もあり、実際に音楽好きなのだという。