唯一無二の個性で存在感を示す脇役たち

 昨年『半沢直樹』(TBS系)で国交大臣を演じた江口のりこ(40)も、そのうちまた政治家の役が来るかもしれない。誰でもこなせるわけではない目玉的な役どころを任されるのは、バイプレーヤーとしてのキャリアと実力のたまものだ。

『半沢』を生んだ日曜劇場枠は、クセの強い作品が多く、そのためか、個性的な脇役も重用されている。そこでイメージチェンジに成功したのが、徳重聡(42)だ。『下町ロケット』('18年)で無愛想なエンジニアを怪演。“21世紀の裕次郎”として世に出て以来の好青年路線から脱却することができた

 というのも、この人、石原プロ伝統のアクション路線にはそれほど興味がなかったらしい。デビューに向けて3年半もかけ、さまざまな免許を取得させられたことをテレビで愚痴ったことがある。

「普通免許しか持ってなかったんで、単車とか、大型のトラックとかバス、あとは船舶の1級。(略)でも賞金1億ももらっちゃったんで、とても返せないな、と思ってやめられなかったんです

『牡丹と薔薇』で“ボタバラ旋風”を起こした小沢真珠
『牡丹と薔薇』で“ボタバラ旋風”を起こした小沢真珠
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 イメチェンといえば、小沢真珠(43)もそう。昼ドラ『牡丹と薔薇』(フジテレビ系・'04年)でのいじめ役が転機となった。容姿も派手だし、ドラマチックな世界が合うのだろう。

 ほかに渋いバイプレーヤーといえば、大倉孝二(46)や橋本じゅん(56)といった人も。なにせ、人間以外もこなせる芸達者だ。

 昨年、大倉は『妖怪シェアハウス』(テレビ朝日系)でぬらりひょんを、橋本は朝ドラの『エール』で閻魔大王を演じた。

 橋本にいたっては、同じ『エール』に5か月後、演出家の役で再登場する神出鬼没ぶり。はたして、気づいた人はどれくらいいただろうか。

 主役ではなくても、その名前にピンとこなくても、唯一無二の個性で存在感を示す彼らがいてこそ、ドラマや映画は面白いのだ

寄稿:宝泉薫(ほうせん・かおる)アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。近著に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)