●名言20:産前母の体調問題
「尿が漏れても1人」byみくり
開始1時間13分25秒

→妊娠後期の身体のしんどさを、ここまでコミカルかつシリアスに伝えた名言が、過去にあったでしょうか。しかもガッキーが言うところに、妙があります。

●名言21:男の呪い問題
「泣きたいのはこっちですよ」by平匡
開始1時間19分25秒

→今回のドラマのクライマックスともいえるシーンです。筆者は放送前に、原作者である海野つなみ先生にインタビューをさせていただいたのですが、海野先生いわく、この続編で描きたかったのは「男の呪い」だったと言います。

 妊娠出産・育児における女性のつらさは、これまである程度可視化されてきました(解決されたわけではありませんが)。一方で、「稼ぐ男であれ。かつ、よき夫であり、父であれ」と迫られる男性にかかった呪いは、可視化されていない。冷静沈着な“あの”平匡さんでさえ、抱えきれず爆発してしまうこのシーンに、今回の『逃げ恥SP』のテーマの深さを感じます。

●名言22:男の呪い問題(再)
「男らしくあらねば。それもまた、呪いかもね」by百合ちゃん
開始1時間25分50秒

→予告でも流れていた、百合ちゃんの名セリフ。母親の不安と父親の不安。両方にスポットがあたったのは、このドラマの大きな功績のひとつだったと感じます。

 この後のシーンで「男だって、女だって、つらいときはつらいですよね」と、みくりちゃんが平匡さんを抱きしめ、平匡さんが「つらかった」と告白するシーンも、胸アツです。

●名言23:家事アウトソーシング問題
「周りの手も借りて、やっていきませんか?」byみくり
開始1時間28分20秒

→荒れ放題の家に家政婦を頼んだみくり。なんでも家族だけで解決しようとして、苦しくならなくていいのではというメッセージ。「あまり贅沢はできませんが」というエクスキューズも『逃げ恥』らしいです。

●名言24:「お腹を痛めてこそ」問題
「楽できるところはしていきましょう。逃げるは恥だが、役に立ちます」by平匡
開始1時間37分04秒

→計画的無痛分娩を選んだ2人。「お腹を痛めてこその出産」という呪いを、軽やかに超えていきます。ちなみに、リアル新生児は星野源さんも出演したTBSドラマ『コウノドリ』で培われた人脈のたまものだったとの情報も。

ドラマオリジナルだったコロナ設定

 ここまでの展開は、原作漫画のエピソードが生かされていました。しかし、この後は急転直下。2020年2月に連載が終了した原作では描かれなかった、コロナ禍での“疎開育児”が描かれました。

 時代に翻弄される家族のドラマが、リアリティを持って迫ってきました。「ガンバレ人類」というサブタイトルの意味も、ここで明らかになっていきます。