浮き彫りになった救急・地域医療の問題
搬送要請を断ったとされる国立病院にも何らかの事情があったのだろうか。週刊女性の取材に、病院は次のように回答した。
「個人情報に関わることですので、個別案件にはお答えすることができません。ただし、コロナを理由でお断りすることはございません」
世田谷区のほかの14の救急医療機関にも尋ねてみると──。
「救急からの要請を受けたかどうかは、個人情報なので答えられない」が5病院。明確に「要請はなかった」が3病院。
「夜間対応はしていない・外科がない・救急医療に対応していないので、要請はなかったと思う」が4病院。「回答なし」が2病院だった。
「光太くんの両親は、コロナとか医療体制というよりも、“犯人が2度ひいたことが憎い”と言っていました」
と関係者が話すように、容疑者を憎む気持ちは遺族として当然のことだろう。しかし、どんな不測の事態にも備え、普段から医療体制を充実させる必要がある。
前出の有賀さんもこう指摘する。
「重傷者の搬送は1分遅れるごとに、1%死亡率が高くなると言われているので、少しでも早めていくことは大事です。しかし、医療費や税金がかかる問題なので、地域や国民の了解も必要だと思います」
医療崩壊も叫ばれる状況になり、改めて浮き彫りになった救急・地域医療の問題。 光太くんの命を無駄にしないためにも、真剣に向き合っていかなくてはならない。