コロナ禍にあえぐ若者たちの実態
子どもたちを支えるB4Sだが、新型コロナの影響で、開催時期によってはボランティアが確保しにくいことも。昨年は初めてオンラインセミナーを開催したが、従来どおりの1対1でのサポートが難しく、試行錯誤が続いている。
かつて自身も虐待を経験し、18歳で親元を飛び出した岳野めぐみさん(41)も、ボランティアに携わるひとり。
「一昨年、昨年と巣立った子たちは本当に大変です。業績の悪化で職を失う子もいますし、若者を狙った詐欺も横行しています。SNSなどに日払い可の募集が出ていて、お金も仕事もなければ、つい応募しちゃうじゃないですか。ところが、それが、助成金詐欺やマルチということもあるんです」
B4Sでは法的な問題や金銭問題、国籍絡みの手続きの問題といったトラブルに対応できる専門家とも連携をとっている。網の目から零れ落ちる子どもがいないよう体制を強化してはいるが、課題はあると岳野さんは指摘する。
「自分自身がそうだったのでわかるのですが、つらい経験があったぶん大人に対して萎縮してしまうところがあって。今のスタッフさんは素晴らしい方ばかりですが、子どもたちがもっと気軽に心の内を話せる若いお兄さん、お姉さん的存在の人にも、こういうボランティアに目を向けてもらえたらと思います」
先の千さんには、将来アフリカの難民と一緒にホテルを開きたいという夢がある。
「ホテルの従業員さんのマナーや思いやり、察する能力を見ていると、接客業のなかでいちばん周りを見て行動している方々なんじゃないかなと思うんです。しかも、ホテルであれば多くの雇用を生み出すことができるじゃないですか」
未来を作っていくのは子どもたちだ。その子どもたちが夢に向かって職業を選択し、個々の能力が発揮できるよう、少しずつでも私たちにできることはある。
*B4Sでは、物資、ボランティアなど、さまざまな形での支援を募っている。詳細はHPにて。認定NPO法人ブリッジフォースマイル
《取材・文/山脇麻生》