不意打ちで親を紹介されて、結婚を決意した
祥平さん(38歳、仮名)は、朋美さん(37歳、仮名)と仮交際に入り、2か月がすぎました。彼女の明るくやさしい人柄には、とても好感を抱いていたのですが、結婚を考えるには、ひとつ気になることがあったのです。
朋美さんはパートで働いて、仕事が不安定。昨年からのコロナ渦で、世の中全体の失業率も上がっているし、行き先が見えないご時世。祥平さんは、会社員でしたが、会社が傾けばリストラされるかもしれないし、もしかしたら自分が身体を壊して働けなくなることがあるかもしれない。そうなったときに、パートナーは手に職があったり、公務員で安定したりしている女性のほうがいいのではないかと考えていたからです。
実際、もう一人仮交際に入っている女性、里江さん(36歳、仮名)が、公務員だったので、見た目や性格は朋美さんのほうがタイプでしたが、里江さんと結婚話を進めたほうが、堅実かなとも思っていました。
あるとき、朋美さんと郊外にドライブに出かけました。終えて、彼女を家の近くまで送ろうとしていたときに、彼女がこんなことを言いました。
「家の庭に橙の木があって、実がたくさん実ったの。酸味と苦味が強いからそのままは食べないけれど、つゆの元に果汁を絞ってお酢を加えると、自家製ポン酢が簡単にできて、美味しいんです。少し持っていきますか?」
せっかくなので、いただくことにしました。
「じゃあ、お母さんにLINEを入れておくね」
そして、彼女の家に到着すると、家の前に橙が入った袋を持った朋美さんの母親が立っていたというのです。「これは、挨拶をしなくてはならない」と思い、車から降りていきました。
「はじめまして、今、朋美さんとお付き合いさせていただいています」
すると、母親は、笑顔で言いました。
「とても優しくて誠実な人だと、娘から聞いています。よかったらあがってお茶を召し上がっていきますか?」
せっかくなので家に上げてもらい、お茶と和菓子をごちそうにり、父親にも挨拶をしたと言うのです。
その翌日、亮さんは私に連絡を入れてきました。
「先のことを心配して安全な結婚をするよりも、自分の気持ちを優先させようと思いました。里江さんとは、交際終了にして朋美さんと真剣交際に入ります」
このケースは、男性は女性を好きだったけれど、彼女の仕事が不安定で将来的なことを考えると、前に進んでいいものかどうか悩んでいた。ところが、親御さんに会ったことで、背中を押された形になったのでしょう。
そして、真剣交際に入って1か月後にはプロポーズをし、成婚退会をしていきました。
相手に対してどういう気持ちでいるかで、相手の親しい友人や親族にあったときに、どう感じるかが変わってきます。
こちらは結婚したいと思っているのに、相手がどうも煮え切らないときには、思いきって友人や親族に会わせてみるのも、相手の本心を知るきっかけになるかもしれません。
もしも長年付き合っている恋人が結婚を言い出さないときには、「親に会って」と言ってみるといいですよ。
鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『最短結婚ナビ』http://www.saitankekkon.jp/ 新刊『100日で結婚』(星海社)好評発売中。