昭和VS平成の戦い

「60代~70代の大ママがいるお店もざらです。そんな伝説的なママに憧れて、この世界に入る子も多いんです」

 そう語るのは、都内の熟女バーに勤める仁科麗華さん(52・仮名)。夜の街を渡り歩いてきたベテランホステス。

「接客をしているからでしょうか、大ママたちはみんな実年齢よりもずっと若く見えます。私も年をとってもママたちみたいになりたいって思うんです」

 基本的にはホステスの仲がいいといわれる熟女バーだが、年の差ゆえのトラブルも。

「年配のママやチーママが“こうやってきたんだから!”と頭ごなしに言えば若い子は反発する。かといって年配ママたちも、若い子からのアドバイスも聞かない。昭和と平成の戦い、なんてことも言われています(苦笑)

 だが、多いのはお客さんをめぐるイザコザだ。麗華さんが明かす。

「まだ30代のころのことです。40代の先輩ホステスの上客だった不動産会社の社長が私に指名替えしたことがありました。そこからはまさに修羅場の日々……」

 さっそく先輩ホステスから更衣室に呼び出された麗華さんは、「枕営業でしょ!」と罵倒され、平手打ちをされた。もちろん事実無根だった。

「それだけならいいですが、翌日からはお財布や上着がなくなりました。どうやら先輩に指示された新米ホステスもグルになっていたようです」

 精神的にも追い込まれた麗華さん。しかし社長は麗華さんに入れ込み、皮肉にも売り上げは右肩上がりに。会計がひと晩300万円にもなる“太客”に。しかし、そこには思わぬ落とし穴があった。

「売り掛けです。担当のホステスは、お客様が売り掛け(ツケ)で帰った場合、その売り掛け代金の回収や、お店への入金の責任をすべて負わなくてはいけないんです。その方も最初はよかったのですが、担当して1年後に売り掛けで飛ばれました。およそベンツ1台分ぐらいの金額です。きっと『ざまあみろ』と言われていたでしょうね

 その後、麗華さんは退店し、独立。いまや50代になった彼女はその豊富な人生経験で男性客に連れられて来店した女性客の相談に乗ることも多い。