派手な衣装なら「西ゆり子」

テレビのバラエティー番組のプロデューサーがスタイリストを探しているんだけど、西さんやらない?」

 知り合いのカメラマンからそう声をかけられ、今度はバラエティーの世界に進出することになる。

 最初に担当したのは、『11PM』に出演する井森美幸さんの番組用の衣装だった。

「上下で合いすぎるのもダメ。テンション上がらないじゃない?」と西さん。自著『ドラマスタイリストという仕事 ファッションで役柄をつくるプロフェッショナル』を3月末に発売予定 撮影/伊藤和幸 撮影協力=株式会社サン・フレール
「上下で合いすぎるのもダメ。テンション上がらないじゃない?」と西さん。自著『ドラマスタイリストという仕事 ファッションで役柄をつくるプロフェッショナル』を3月末に発売予定 撮影/伊藤和幸 撮影協力=株式会社サン・フレール
【写真】チャリティーカジノパーティーでの西さん、さすがのスタイリング

「そのとき、私が考えたのは『テレビに出る人は普通の服ではいけない』ということ。画面を見ている人たちの目が釘付けになるような装い、ワクワクするような“非日常感”を演出しようと思いました。舞台衣装のような奇抜なデザインの帽子、全身真っ赤な服や靴でそろえたり、とにかくインパクトの強い衣装を目指しました」

 いつしか業界でも評判となり、「派手な衣装なら西ゆり子」と称され、あちこちの番組から声がかかるようになった。

 人気番組『なるほど!ザ・ワールド』の司会、楠田枝里子さんの衣装も手がけた。

「毎回、私と楠田さんで衣装のアイデアを出し合ってましたね。印象に残っているのは“鯉のぼり”(笑)。楠田さんは着こなしがうまいので、布1枚あげるとケープにしたり、本番中にも適当にアレンジできる人で。あるとき、『鯉のぼりが着たい』と言い出して、布を買いに行きましたよ。楠田さんの要求はずいぶんエスカレートしてましたね。『クリスマスツリーが着たい』とか(笑)」

 人気絶頂だった山田邦子さんの衣装も担当している。

「深夜のバラエティー番組『いきなり!フライデーナイト』や『MOGITATE!バナナ大使』など、山田さんの出演する番組は全部手がけました。テレビで見ない日はないほど売れっ子の山田さんはすごいオーラで、『これでもか!』というくらい派手な衣装がバッチリ似合う方でした」