では、猫背にならないためにはどうすれば?
「第一に背筋を鍛えること。正しい姿勢で身体を動かすには、首や腕、脚などとうまく連携するための柔らかい筋肉が必要です。うつぶせ寝から首を持ち上げる簡単なストレッチでも効果は十分。背筋が強いと背中がしっかり伸びるので、たとえ圧迫骨折を起こしても骨折の連鎖をある程度抑えることができます」
次に、圧迫骨折自体を防ぐには骨密度と骨の質の両方を高める必要がある。食事でカルシウムを継続的に摂取しながら、骨作りをサポートする食材を組み合わせると効率がいい。また、骨は刺激を与えると強くなるので、ウォーキング程度の軽い運動もおすすめだ。
「正しい姿勢で過ごすと、胸が広がり体内に取り込める酸素量が増えます。すると血液の循環がよくなって頭痛や肩こりが解消。活動エネルギーの生産量も増え、階段で息切れしないなど疲れにくくなります。基礎代謝も上がって、ダイエットや美容効果も期待できますよ」
寝たままストレッチのやり方
人間の身体は、前に向かって動くようにできているため、後ろ側の筋肉はあまり活発に使われず背筋も衰えがちになる。
動かしにくい背筋をピンポイントで鍛えるには、重力に逆らう動きをすること。「頭の重さ」を負荷にして上体を反らすだけで、十分な効果が得られる。
また、うつぶせの姿勢は、背筋が伸びやすいのでストレッチには最適。寝る前や起きた後の習慣にしやすい。毎日が難しければ最初は2日に1回から始めて、継続することが大切。
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(取材・文/河端直子 イラスト/中村加代子)
《PROFILE》
医学博士・安保雅博 ◎東京慈恵会医科大学附属病院副院長。リハビリテーション科診療部長。著書に理学療法士・中山恭秀氏との共著『何歳からでも丸まった背中が2ヵ月で伸びる!』(すばる舎)がある。