実は年収が半分以下だったけれど‥‥
妙美さん(仮名、37歳)は、結婚相談所で婚活しながらも、無料の婚活アプリにも登録をして、並行して婚活をしていました。妙美さんの年収は、470万円でした。結婚相談所でお見合いを受けたり申し込んだりするのは、やはり自分と同じくらいか、それよりも年収の高い男性でした。
相談所での婚活を始めて半年、苦戦中だった妙美さんから、「相談所での活動を休会したい」という連絡がありました。
「婚活アプリで41歳の自営業の男性と知り合ったんです。年収1000万円あって、見た目のタイプなんです。彼は、今実家暮らしなので、週末は私のマンションでお泊まりデートをしています。すごくマメに家事もやってくれるし、料理も上手なんですよ。彼と真剣に向き合ってみようと思っています」
この話を聞いたときに、“年収1000万円の自営業の男性が、実家暮らしをしているということが、ちょっとおかしいのでは?”と、私は思いました。ただ、“その自営業というのが一家総出でやっているような商売だったら、まあ、実家暮らしもありえるかもしれない”と考え直しました。
その日、妙美さんは、休会届を書いて帰りました。
そこから1か月後、妙美さんから、「彼との結婚を決めたので、退会します」と連絡がありました。
退会届を書きに事務所に来たのですが、そのときにこんな報告をしてきました。
「今、私のマンションで一緒に暮らしています。結婚してもしばらくはそこを新居にしようと思っています。彼は、すごく優しくて、私が残業の日は、家に帰ると夕食を作って待っていてくれます。独身のときは、残業でヘトヘトになって帰って、真っ暗な部屋に灯りをつけて、一人分のご飯を作って食べていたけど、今は待っていてくれる人がいる。しかも、ご飯まで作って。“結婚って、いいなあ”と思っています。ただ……」
いったん口籠ると、こう続けました。
「彼の年収が1000万円というのは、いちばん稼いていたときの話で、今は400万円ちょっとしかないみたい。でも、自営なので年収の変動は仕方ないことだし、何より優しい人なので、感謝しなきゃ、って。私は結婚しても仕事は続けたいので、ふたりの年収を合わせれば900万円弱になるし、世帯年収で考えたら十分だと思っているんです」
退会届を書き終えると、「幸せになります」と言って、妙美さんは帰って行きました。