働けない期間の収入もカバーできる
次は収入面の助成。健康保険に加入する会社員や公務員の場合、病気になって働けない休業期間の収入が補填される制度がある。
「『傷病手当金』です。医師が仕事を続けられない労務不能と認めたら支給開始日から再長1年6か月、1日につき標準報酬日額の3分の2が支給されます」
手続きは、まず傷病手当金専用の申込書を受け取るために人事・総務などへ。申込書を医療機関に提出して医師の証明をもらい、それを会社に提出するという流れ。
「支給期間中に勤め先を退職することになっても、前述した最長1年6か月の間であれば、引き続き受給できることになります」
最後は、医療費控除。1年間の医療費がある一定額を超えた場合は、国に申告すると、税金が安くなる制度を指す。
「簡単にいえば、年間10万円以上の医療費を使っていたら申告すべきです。医療機関に支払った入院費や治療費はもちろん、入院中の食事代、交通費、市販薬の薬代なども対象となります」
民間医療保険・がん保険は見直しを
公的医療保険で病気の値段は下がるもののゼロにはならない。その負担をさらに抑えられるのが民間の医療保険。
医療保険の中にはがんに特化したがん保険も並ぶ。すでに加入している人が多い両保険をうまく活用することが大前提だが、負担減とならないものなら見直しが必須となる。
「まずチェックすべきは入院給付金の開始時期です。近年、入院の短期化にますます拍車がかかっています。私の知る例では、乳がん全摘手術で入院から退院まで3日のケースも。最近の医療保険、がん保険は入院当日から給付金が受け取れるタイプが主流になっています。自身の保険の給付開始が5日目などだったら短期入院をカバーできないので、対応する特約をつけるなど対策しておきましょう」
入院給付金は日額5000円または1万円を選ぶ人が多数を占める。日額金額を上げれば保険料も上がるため、個室を希望するかどうかや家計の状況などを踏まえて慎重に判断する必要があるそう。
高度な医療技術を必要とする治療で、健康保険が適用されない先進医療。原則、全額自己負担となるだけに、民間の保険で補いたいところ。
「重粒子線治療や陽子線治療などの先進医療を望むのなら、医療保険、がん保険に『先進医療特約』をつけるのがひとつの方法です。月々100円程度で300万円の治療にも備えられます」
加えて、がん保険には確認すべきポイントがいくつかある。まず、がんと診断されたときに支給される一時金(診断給付金)について。用途を限っておらず、生活を支える費用にも使えるのはうれしい点といえる。
「がん保険の種類や契約内容によって診断給付金に幅がありますが、最低でも50万円、できれば100万円を受け取れると安心です」
がんの再発や転移が見つかった際に、診断給付金が受け取れるかどうかも要チェック。
「がん保険の診断金は複数回受けられるのが理想。保険会社によって初回のみ、1~2年経過後、新たながんの診断を受けた場合に診断金を受け取れるなど条件が異なります」
一方、通院給付金がついているかどうかもカギになる。
「手術以外のがん治療の柱は化学療法や放射線療法。ともに通院治療が一般的になりつつあるので、入院給付金を下げてでも、通院給付金を設定することをおすすめします」