義父にも借金して、合計1690万円を振り込んだ
大林さんはその後、5回にわたってお金を振り込む。12月3日に327万円、12月7日に362万円、12月11日に684万円、12月14日に232万円、12月24日には85万円を振り込んだ。
「2回目からは金額が一気に上がったので怖くなって……。それでも口座にお金があるのは見えている。きっと返ってくるから大丈夫と、自分に言い聞かせて振り込んでいました。途中からは振り込まなければお金を返してもらえなくなっちゃう……と必死で。亡くなった母の保険金があったので振り込めましたが、途中からは母と再婚した義父にもお金を借りました。小さいころから私を知っている義父は“子どものときから母親のことで苦労したからな……。お前が涙ながらに頼むのなら、しょうがない”と言い、詳しい事情も聞かずに600万円を貸してくれました」
不安を感じた大林さんは、男性にパスポートの写真を送ってもらったり、米国では誰もが持っている社会保障番号を教えてもらっていた。
「社会保障番号をWEB上で検索すると、個人の情報を一部確認することができるのです。確認したら、確かに彼が話したとおりの地域出身であることがわかり、大丈夫だろうと思っていたんです。不安になって、彼に騙してないよね? と連絡をすると“僕だって困っているんだ。こんな状況でも信じてもらえなくてつらい”と逆ギレ。だから疑いつつも、騙されてるワケないって……」
だが、2021年1月に男性と連絡が取れなくなった。
「“会社に携帯を取り上げられるから、連絡は取れなくなる”との知らせはありました。ただ、アプリ上の彼はオンラインになっている。誰かが携帯をいじっているハズなんです。だから私はメッセージを送り続けました。次に連絡が取れたのは2月で、彼は“会社から契約不履行で裁判を起こされた。裁判官が連絡をしてもいいと言うので、連絡できた”と。ただ、私はお金を返してもらいたいだけ。私を騙してるよね? と送ると“騙してると思うの? こっちもつらい状況なのに、君にも責められてつらい”というメッセージが来ただけでした」
再び音信不通に。最後に連絡が来たのは3月3日だった。
「私はずっとメッセージを送っていたのですが、彼からは“何を言っても自分の言葉を信じてもらえない。もう君の好きにしたらいい”という返信が来たのが最後です。3月10日には、アプリ上で相手にブロックされました」
1500万円以上を騙し取られ、黙っているわけにはいかない。大林さんはすぐに警察に駆け込んだが、
「警察も海外と聞くと“英語ができる人はいるけど、多くはないからね……”と及び腰で。日本人名の口座については調査してくれると言ってくれましたが、真剣に対応してくれるようには思えません。FBIにもWEB上から連絡を入れていますが、私だけのために捜査してくれるとも思えないし……」
と、途方に暮れる。