「集められたポンチョはホールにあって消防局とも相談して、別の場所に移動させるなどして対応していました。現在でも残りは市の倉庫にあります。昨年から医療機関の他、介護施設などにも配布して、現在でも希望される団体に月に一回払い出し(配布)をしています」

大阪市健康局が3月下旬に公表した寄付物品の状況と保管の様子
大阪市健康局が3月下旬に公表した寄付物品の状況と保管の様子
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 市役所玄関ホールを埋めつくした供出雨ガッパのうち、医療機関に渡ったのは、その一部にすぎない。多くは医療機関ではない学校など避難所となる場所にも配布された。そこでは、通常通り雨具として使われることもあるという。なお、市の担当部署は大阪府による雨ガッパ調達に関しては「知らなかった」のだとか。

 一方、市に先立って21万着の「レインポンチョ」の調達に動いていた大阪府の健康医療室医療対策課感染症グループに聞いた。

「防護服の在庫数が逼(ひっ)迫している時は、レインポンチョの調達に動いていました。開示文書の通りです。国の支援もあり、6月には防護服の在庫は改善されました。医療機関に配布したレインポンチョは1万枚ほどです。残り(20万着以上)は現在保管している状態です」

 なんと、まだ20万着以上、業者から調達したレインポンチョが倉庫に眠っているという。

 これらの供出雨ガッパ、調達レインポンチョは、昨年、医療用防護服の替わりとして役立ったのかというと、どうやら、そうでもないらしい。

「もともと雨具ですから、滅菌処理などされていません。さらに個人からの寄付ですから、規格も揃っていないし、手作りのものまである。もちろん寄付した人たちは善意での行動なのでしょうが、実際に雨ガッパを送られた医療機関では『どこで使うんだ?』と疑問の声があがっていました」(大阪市内の病院関係者)

 医療関係者によると、現場での雨ガッパの使用は、あくまで補助的な使用に限定していたという。しかもゴールデンウィーク明けには医療用防護服の在庫は安定しはじめたのだ。

 なお、大阪府の雨ガッパに関する公文書を入手した沙和さんは、吉村知事のイソジン会見に至るまでの経緯を情報公開請求で明らかにした実績もある。

 その沙和さんが、一府民として、4月5日の「まん延防止等重点措置」の適用に思うのは「市長や知事には、職員の手がかかるような、変な思いつきだけはしないでほしいですね」ということ。

 多くの善意が集まったことには意義があるだろう。しかし、ただでさえ忙しい中、降って湧いた検品作業は職員にとって大きな負担になった。しかも、府とのチグハグな動き、そして両者とも結果的にあまり役に立たなかったというのは残念すぎる事だ。