あの子はよく頑張った

 深い絆で結ばれた池江の家族。困難を乗り越えた彼女をどう思っているのか。4月上旬、池江家のほど近くに住む祖父母を訪ねると、祖母が対応してくれた。

─出場が決まってから、お孫さんとお話ししましたか?

「ええ、直接は会えていないですが、今は便利な電話がありますから」

─どんなお話を?

「ひと言“おめでとう”って言ったら、ありがとうって。喜んでいましたよ」

─早くお孫さんに会ってお祝いしたいのでは? 

「コロナですからね、お祝いしたいのはやまやまですが……。しばらく本人にも会っていないんですよ。本人も大会中はホテル住まいらしいので。あっ、確か今日もこれから試合じゃないかしら」

 孫の活躍をうれしそうに語る祖母。

─オリンピック内定を決めましたが、なぜここまで頑張れたんでしょうか?

「どの家族も一緒だと思いますが、やはり家族の支えでしょうね。ほんと、あの子はよく頑張りましたよ」

 孫の偉業に、感極まったように声を震わせながら話してくれた。今回の快進撃の秘密、それは支え合う家族の絆だったのかもしれない。