“ケンカする金持ち”たち

 大金を稼ぐには、卓越した才能(タレント)が必要。それゆえ、芸能人以上の注目を浴びる金持ちがいる。ZOZO創業者・前澤友作もそのひとりだ。

 月旅行の権利を獲得したり、紗栄子や剛力彩芽と付き合ったり、SNSで「お金贈りおじさん」を名乗って総額1億円のお年玉を配ったりと、行動もなかなか派手だ。

堀江貴文 自身の行動にどれだけ噛みつかれても“炎上上等”で反論し続けているホリエモン
堀江貴文 自身の行動にどれだけ噛みつかれても“炎上上等”で反論し続けているホリエモン
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 ただ、この人以上の注目を長年、浴び続けているのがホリエモンこと堀江貴文。それは「金持ちケンカせず」のことわざの逆を行くようなトラブルメーカーだからだろう

 IT企業・ライブドアの社長時代にはプロ野球への新規参入をめぐって、楽天と争ったり、ニッポン放送を買収しようとして、フジサンケイグループと衝突したり。その後、証券取引法違反で逮捕されたときも、マスコミ報道などを不服として『徹底抗戦』という本を書いたりした。

 ここ数年、宇宙ベンチャー企業に出資し小型ロケット開発に携わることを報じられ話題にもなった。しかし、昨年は広島県の餃子店とマスクの着用をめぐってモメてしまい、SNSで非難。堀江の支持者たちも誹謗中傷したため、店は休業に追い込まれた。これに対し、支援に動いたのが、ネットの巨大掲示板・2ちゃんねるの創設で知られるひろゆきだ。現在はフランスのパリ在住だが、リモート出演していた『グッとラック!』(TBS系)などでクラウドファンディングを呼びかけ、1500万円を集めて店の再出発を助けた。

 これにイラついたのが堀江で「キレました」「性格悪すぎ」と敵意をむきだしに。ひろゆきが前出の前澤と500万円ずつ出し合い、児童養護施設にパソコンを贈る計画を発表すると、

「格安スマホ配ったほうがよっぽどマシ」

と批判した。

 なお、ふたりはインターネットバブルでのし上がった似た者同士だ。共著を発表するなど仲よしにも見えていたが、堀江は「親友だったことは一度もありません」と断言。ひろゆきも「僕がもともと体形いじりとかめちゃめちゃやってたから、そのせいでさすがに堪忍袋の緒が切れたのでは」と分析した。

 とまあ、レベルが高いのか低いのかよくわからないケンカだが、世間はこういうもめごとが好きだ。まして、ちょっとやそっとじゃ傷つかないような金持ち同士のケンカなら高見の見物ができる。海の向こうでは「ケンカする金持ち」を貫くことで大統領にまでなったトランプみたいな人もいるほどだ。

 そういえば、堀江も選挙に出たし、そのうち、ひろゆきの出馬もあるかもしれない。

 それはさておき、トランプの選挙戦は2度とも僅差で全米が盛り上がった。賛否両論を生むキャラは、それくらい魅力的なのだ。賛否両論タレントが強い理由も、そこにある。

寄稿:宝泉薫(ほうせん・かおるアイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。近著に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)