口の辺りには何かを吐いた痕跡が
同時期に千葉県でも大量不審死事件が起きていた。
同県袖ケ浦市にある公園内では計6匹が死亡した。
3月19日、マイケルと名づけられていた10歳(推定)のオスの遺体が見つかった。
同公園で保護活動を行うNPO法人『袖猫パトロール隊』の代表者が明かす。
「公園内のすべての猫に名前をつけてTNRやエサをやりながら健康状態を見ています。体調が悪かったり、異変があればすぐに対応しています」
マイケルに変わった様子はなかったという。だが、事件前日、エサの時間に出てこなかった。心配した代表者が付近を探したがいない。翌日も姿を見せなかったため再び探すと、息を引き取った状態で発見された。口の辺りには何かを吐いた痕跡があった。
その日を境にエサの時間に出てこない猫がいた。“おかしい”と思い、付近を探索すると園内からは次々に死んだ猫が発見された。水路からも1匹、変わり果てた姿で発見された。なおも2匹が行方不明になっている。
「何者かが毒物であろうものを食べさせたのではないかと推測しています。事件のあと、公園に来る人がみんな怪しく見えました。猫たちも懸命に生きているのに……」
そう怒りをあらわにした。
猫への虐待は懲役5年以下の実刑も
猫はノラ猫であってもみだりに虐待したり、殺した場合には最大で懲役5年、500万円以下の罰金に処せられる。
「これだけ人間を殺したら重い罪に問われます。ですが、猫だと警察も捜査への重い腰をなかなか上げませんし、司法も動きません」(前出の代表者、以下同)
加害者が逮捕され、刑事事件として起訴されても初犯の場合、執行猶予がつき実刑にすらならないのが現状だ。
「殺された猫の恨みは誰が晴らすんですか」
猫を遺棄する人が後を絶たない。飼い主が不妊手術を怠ったため増えたり、身勝手な理由で捨てられた。その先で疎まれ、人間に虐待され、殺される。
「猫の糞尿などで困り、嫌いになり、危害を加える人もいます。でも危害を加えていい理由にはならない。事件も元をたどれば捨てた人間がいるから起きたこと。すべては人間の問題。猫の不審死事件は猫を捨てた人が殺したも同然なんです。猫を殺しても人間を殺しても同じ犯罪者です」
人間の愚かで無責任な行為が悪意となり猫に向けられる。
「地域の猫の問題はボランティアや行政だけではなくひとりひとりが考えなければならないことです」
無残に奪われた小さな命。その無念な思いが報われる日はきっと来るはずだ。