どう生きていくかを考えさせられた

――闘病を経て、心境の変化はありましたか?

青木:病院では4人部屋にいたんですけど、そこで私よりも状態が悪くて大変なはずの人が、どう人と接しているかとか、毎日の生き方を見て、とても勉強になったんですよ。ある女性は、大変な状況にも関わらず、すごく丁寧に暮らしていました。いつも髪をとかしていた。薄く化粧もしていた。先生や看護師さんたちに、いちばんに感謝を伝えていた。私のことも心配してくれた。苦しい顔を見せなかった。そういう人を見ていると、この先の人生をどう生きていくかを考えさせられました。

――周りのサポートでうれしかったことはありますか?

青木:退院後の数日は、もうナースコールもないし、ひとりで動かなければいけないので身体がつらくて大変でした。そのときに、友達が自宅の玄関前まで来て、(ドアノブに)かけておいてくれたおかずやスーパーのお惣菜はありがたかったです。

――私も含めてですけれど、若い人の中には、がんに対して危機意識がない人もいると思います。何か伝えたいことはありますか?

青木:私はがんで苦しんだっていうよりも、病気によっていろいろなものを見せてもらったし、病気に教えてもらうことが多かったと思います。同室の女性や看護師さんたちから、惜しみない優しさをもらって「この看護師さんが来ると不思議と痛みが減るんだよな」ということも経験しました。だから、結局は人と人なんじゃないかと思っていて。がんにならないように生きるというよりは、毎日ベストを尽くして楽しむことが大事なのかなと思います。

――最後に、がんで悩んでいる人にメッセージをいただきたいです。

青木:私は、自分ががんだからといって、がんの人の気持ちがわかるとは思っていなくて。今、がんになっている人の気持ちは本人じゃないとわからないと思うから、実は何も言うことはなくて。私の場合は、「毎日忙しく、楽しく生きていれば、それが明日をつくる」と思ってやっている、という感じです。

――ありがとうございます。青木さんの『母』という新著、病気になって、お母様に対してどう感じたかということなども書かれていますが、家族関係で悩まれている方も多いと思うので、読むとヒントになると思います。ありがとうございました。

(取材・文/お笑いジャーナリスト・たかまつなな)

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