周知のように、彼は音楽も芝居も、コントや著作もこなす才人だ。新垣と4年ぶりに共演した『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)の新春スペシャルについて、

このふたりにしかできないリズムみたいなものがあるんだな、っていうのをそこで再確認しました」(『あさチャン!』)

 と、発言。あれだけのミュージシャンが「リズム」という言葉を使うと、説得力がある。そのリズムが私生活でも合うことが確認できたからこそ、結婚したのだろう。

星野源が憎まれないワケ

 一方、才人ゆえの気難しさもあり、一昨年には、自分の写真がSNSのアイコンなどに無断使用されていることについて、ラジオで苦言を呈した。が、その苦言によって使用をやめてくれた人がいることを知ると、

「本当にいい人だね、みんな。うれしいわ。若干泣きそうです」

 と、フォロー。こうした腰の低さが、憎まれない才人というキャラにつながっているわけだ。

 そんな星野は、植木等を尊敬している。こちらも歌に芝居にコントにと活躍し、その飄々とした人柄でも愛された才人だ。「植木さんも遅咲きだったんですね」「自分の活動の原点に植木さんの笑顔と歌声、まじめさがある」とリスペクトを口にしている。

 '16年の「紅白」では日本中が『恋』ダンスで盛り上がった。それは1990年の「紅白」で植木が『スーダラ節』などのメドレーを歌い、歌手別最高視聴率を記録したことにも通じるものだ。星野もこれから、国民的マルチタレントへの道を歩んでいくのだろうか。

 ただし、夫婦としての「リズム」が合うとは限らない。憎まれない才人であり続けるためには、新垣以外の女性とのプライベートなセッションは避けたほうがよさそうだ。

PROFILE●宝泉 薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。