持ち家のある人は、誰もが無縁ではいられない固定資産税。納付書をチラ見しただけで払っているなら、ちょっと待って! 日本中で「取られすぎ」が頻発、横行しているのだ。その知られざるカラクリと、あなたにもできる対策とは――。
「街中のメインストリート沿いの土地よりも、そこからはずれた奥まったところの階段の評価額のほうが高い。つまり課税される額も高くなるわけです。おかしいでしょう?」
中部地方のとある住宅街。日光を照り返す手すり付きの急勾配の階段を前に、あるベテラン不動産鑑定士の男性は苦笑いしながら語った。
不動産鑑定士は国家資格で、不動産評価のプロだ。
「だって階段ですよ。それで評価額が高いのは、さすがにおかしい。でも、損させられている側は気づいていない」
収入の増減に関係なく取られる固定資産税。家や土地などの資産に対して課される税金で、その資産の価値を評価した「固定資産評価額」をもとに課税される。評価額を決める基準は総務大臣が定めているが、自治体には地元の実情に応じて独自にさまざまな「補正」を加えて算出できる裁量がある。そのため自治体の補正次第で、評価に大きな差が出る場合があるのだ。
固定資産税が及ぼす生活への影響は大きい。25年以上にわたり本来の数倍も税金を取られ続け、滞納と延滞利息に苦しんでマイホームを手放さざるをえなかった人もいる。