声をあげる人は少ない
「おかしいと当人から声が上がれば、相談に乗ることもできるのですが……」
男性は今もさまざまな相談を受けている。
「建て直した新しい家と壊した前の家の両方に、10年以上課税されていた」
「形が悪い土地なのに、整った土地と同じ価値とみなされて課税されている」
事例を次々と挙げながら、男性はため息をこぼす。
「でも、何かおかしいと気づいて行動を起こす人は、ごくわずかですね」
こうしたケースは他人事ではない。筆者が入手した国の資料では、課税ミスがわかった自治体は4年平均で「94・2%」に上る。
多くの自治体でミスが……
「1・8億円過大徴収 ひたちなか市」「タワマン所有者に税率誤って通知 宇都宮市」「生駒の一部宅地で課税超過」──。新聞の地域面では固定資産税の取りすぎに関するニュースが相次ぐ。対象も古い住宅から新築マンションまでさまざまだ。
そして、取りすぎに至ったケースも多様だ。ある自治体では、新築マンションに対して「令和2年建築」と入力すべきところを、職員が「平成2年建築」としてしまったことが原因で、新築後の優遇措置の対象からはずれてしまった。また別の自治体では、建物が古くなるにつれて下がるはずの評価額を誤ってそのままにしていた……等々。
自分の家やマンションの固定資産税が取られすぎていることや、優遇措置の適用が忘れられ税額が増えるといったことも十分にありうる。