50代の女風デビュー、自分認めるきっかけに

 ここからは、実際に女風を利用してみた女性たちのエピソードを見ていこう。

 神奈川県在住の主婦、成宮絵美子さん(仮名、50代)は、3月に「女風デビュー」を果たした。

「夫は“男は仕事、女は家庭”と疑わない亭主関白タイプ。昔から家事や育児はすべて私に任せきりでした。セックスでも“女は男に尽くすもの”という思い込みが強いようで、“お前は黙って舐めていればいいんだ”と言われたことも。私への愛撫はそこそこで、体位は正常位だけで入れたら終わり。ここ数年は没交渉です」

 経済的には何不自由ない生活を送っているものの、心の満たされなさを抱えていた絵美子さん。ある日、ネットで見かけた女性向け風俗の体験記事が忘れられず、問い合わせてみた。

「実際に利用するまでは、3か月かかりましたよ(笑)。“こんなオバサンが行って笑われないかな”“怖い目にあったらどうしよう”と不安もありました。そんな自分の背中を押すためにも、オーナーさんと相談して、あらかじめ利用料金の3万円をお支払いしたんです」

 料金を先払いすることで、みずから退路を断った、というわけだ。

「万一、知り合いに見られたらまずいので、当日はビジネスホテルに私が先にチェックインしました。キャストの方は40代で、芸能人でいえば西島秀俊さんのような落ち着いた雰囲気。最初は口の中がカラカラになるほど緊張していましたが、カウンセリングや世間話から始まって、徐々に気分もリラックスしていきました」

 アロマオイルで肩や背中、つま先まで丁寧に揉みほぐされ、カラダが芯から温まっていくのを感じたという。

「ベッドではたわいのない会話をしていたのですが、私の話をずっと聞いてくれて……ハグをされたときには、思わず涙が出ました。その日は、性器に触れることはなかったせいか、夫への罪悪感もなかったですね」

 前出のあす香さんは語る。「利用した方からは“まるでエステサロンに行った気分だった”“夫にも優しくなれた”という感想が数多く寄せられています。予約に合わせてネイルサロンや美容院に行ったり、おしゃれをしてくる女性も多いですね」

 彼女たちにとって、女風に行く日は、自分をケアする特別な日になっている。

女性向け風俗を通して、“自分は大切にされていいんだ”“もっと自分のために時間を使っていいんだと思えるようになった”と、内面の変化を聞くと、私たちもうれしくなりますね」(同・前出)