アウトレットで安いランドセルを探して…
「うちは、ママ友みたいにランドセルに7万円もかけられないので、必死で安いランドセルを探しました。型落ちなら安く買えるので、みんなが買う時期を避け、秋くらいから探し始めて。安いアウトレットのランドセルを2万円で買ったのですが、デザインはすごくシンプルで、飾りなど何もついていないんです。でも安っぽく見えるのは嫌なので、革にはこだわりました」
麻衣子さんは、ママ友からのメッセージでランドセル画像が投稿されるのがつらかったと言います。
「きちんとした百貨店や展示会で、購入予定のランドセルを背負った子どもの画像が投稿されていました。実は、うちでは節約のために家族みんなの髪を私が切っているほどで、百貨店に行くこと自体、気が引けてしまうんです……。私の服も数年前に通販で買ったコーディネート。はた目には、そこまで節約しているとは思われないかもしれないですが、当たり前のように高いランドセルが買える、幼稚園のママ友をうらやましく思うときがあります」
そう語る麻衣子さん。子どもたちにも影響は出ているようで──。
「うちはうちと思えればいいのですが、小学3年生になる娘や、小学校に入学した息子は『Nintendo Switch』を欲しがるんです。休みの日にオンラインゲームで、友だち同士集まったりするので、自分たちだけ参加できなくて話題についていけないときもあるとか……。子どもには『ゲームは高学年になるまでだめ』と言って聞かせていますが、いつまで我慢できるか不安です」
SNSなどでほかの家庭の暮らしぶりが見えてしまうため、麻衣子さんはつい自分と比べてしまうそうです。同級生たちのSNSを見て泣いてしまったこともあります。
「高校は進学校だったのですが、有名企業で働きながら子育てをしている同級生の姿を発見してしまって。自分はこんなはずじゃなかったのに……と思うと涙が出てきました」
同じ境遇のママばかりではないことが、つらく感じてしまう要因かもしれません。
相手のママ友に問題があって距離を置くのなら、理由がはっきりしていますが、自分の経済状況のために、つきあいを減らしたりしなければならないのもつらいものです。ママ友づきあいは、お互いの気遣いで成り立つものですが、コロナ禍で経済格差が拡大すると、ますますこの悩みは増えていきそうです。
池守りぜね◎東京都生まれ。フリーライター。大学卒業後、インプレスに入社。ネットメディアで記者を務めた。その後、出版社勤務を経て独立。育児、グルメ、エンタメに関する記事のほか、インタビューも多数執筆。『一瞬と永遠』、『絶叫2』など、映像脚本も手掛ける。プライベートでは女児のママ。Twitter:@rizeneration