ベテランの芸人司会者には、ナンチャンこと南原清隆もいる。こちらは冠番組でもある『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)が11年目に突入した。そのあいだに『笑っていいとも!』(フジテレビ系)が終了したことで、ほのぼの系の「お昼の顔」をタモリから引き継いだ感じだ。

 実はその司会ぶりも、タモリに通じるところがある。タモリはある時期から「おじいちゃん」キャラとして振る舞うことで場を和ませるようになった。南原も有吉弘行や陣内智則といった後輩芸人に対し、その時代遅れぶりなどをいじらせたりしている。そこが「威圧感がないから安心できる」(52歳・主婦)という評価につながっているわけだ。

 そのキャラには、一種の子どもっぽさも含まれる。クイズ企画で勝負にこだわり、ムキになる姿もまたなんとなく「安心」をもたらすのだ。そういえば昔、伝説的コント番組『夢で逢えたら』(フジテレビ系)を取材した際、共演メンバーだった野沢直子が南原のことを「小学生の男子みたい」と評していたものだ。

 相方のウッチャンこと内村光良が「紅白」のような派手な大仕事をこなすなか、こちらは狂言に挑戦するなど、どこか浮世離れしたタイプ。そのあたりが得がたい魅力でもある。主題歌が槇原敬之ではなくなっても、ナンチャンがいる限り『ヒルナンデス!』は安心だ。

 平日昼にはもうひとり、芸人司会者がいる。『ひるおび!』の恵俊彰だ。この番組はかれこれ10年、この時間帯の視聴率トップなので、かなりの勝ち組といえる。

 その成功の理由は、やる気と努力、そして体力だ。長渕剛を尊敬しているので、世の中に影響を与えたいというモチベーションが高く、上昇志向も強い。「それなりに勉強したんだろうな」(60歳・主婦)と感じさせる雰囲気もあり、おまけに子だくさんだったりもするのだ。

 実は帯番組の司会者には、薬丸裕英や谷原章介のように子だくさんな人が目立つ。おそらく、バイタリティーにあふれマメな性格の人が向いているのだろう。

 そんな恵のお手本は関口宏。『東京フレンドパークII』(TBS系)で17年間、ハイパーホッケーをしながら、その司会術を見てきた。例えば、関口がゲストの名前を忘れたとき「あなた」と呼び変えて切り抜けることに感心したという。たしかに、長寿番組では、ほどよくラフなスタンスも大事だ。そこが田崎史郎のような大ベテランの政治評論家にも平気で突っ込める司会ぶりにつながるのかもしれない。

 なお、関口がかつて役者だったことを覚えている人がもう少ないように、恵にも「お笑い芸人だということを忘れてしまうから司会者としてうまいのですかね」(56歳・主婦)という声が。相方の石塚英彦風に「まいうー」かどうかはともかく、世間のイメージはすっかり司会者。今回のランキングが9位にとどまったのも、芸人という認識が薄れつつあるからだろうか。