生理や身体の悩みを打ち明ける少女たち
これまで数十人が利用。生理痛がひどい、経血の量についてなど生理に関する内容を打ち明ける若者が多かった。
「例えば経血が多すぎる、生理痛が重いなどの症状が続く場合は“1度病院に相談してみたほうが安心ですよ”とアドバイスをしています。相談者の自宅近くの婦人科を一緒に探すこともありますね」
中には交際中の彼女の身体の心配をした若い男性からの相談もあったという。
特に“妊娠したかもしれない”という不安を抱えている10代、20代前半の若い女性たちの駆け込み寺的な存在にもなりうるかもしれないのだ。
昨年11月、出産した子どもを殺害し、公園に埋めたとして当時22歳の元女子大生が逮捕、起訴された。
「取り調べで“妊娠のことは誰にも言えなかった”と供述したそうです」(全国紙社会部記者)
防ぐべき女性の精神的孤独
人知れず出産した乳児を遺棄、母親が逮捕される事件は後を絶たない。父親とみられる男性は無関心で逃げてしまえば大きくなるお腹を抱え、ひとり悩み、出産。遺棄せざるをえない状況に追い込まれる。
もし妊娠が早期にわかり、身近に、気軽に相談できる場所があったら……。
大人なら“薬局で妊娠検査薬を買って自分で試せばいい”と思えるが10代、20代ではそうもいかない。
「店員さんが男性だとどう思われるかを意識してしまう年代です。クリニックで検査して陽性だったことは今までありませんでしたが、判定の正確性は100%とはいえないため、後日再度検査することをすすめています」
西郡さんによれば、母親に付き添ってもらって婦人科を受診しても母親が娘に代わってすべて説明してしまい、子どもが自分の思いをなかなか打ち明けられない例も多々あるという。ユースクリニックでは子どもたちがワンコインで胸の内を明かすことができるのも心強い。
こうした相談の場が予期せぬ妊娠や、重い生理など身体の不調をいち早く解決するきっかけになる。
「後回しにした結果、“あのときに行っておけばよかった”と後悔する方が出てこないようにするためにも、10代から婦人科受診のハードルを低くする環境を整えることは重要です。そのひとつとして、ユースクリニックは有効な方法だと思っています」
もし、娘や孫から生理や身体の不調を打ち明けられたときには「私もそうだったし、みんなそういうもの」と、自分の経験や常識を元にアドバイスをしていないだろうか。娘や孫とはいえ症状や体質は人によって異なるため、結果的に痛みを我慢させ続けることにつながりかねない。
「“お母さんに言いにくいことがあったらここに行ってみるといいよ”と、ユースクリニックの存在を伝えてみてください。それが、お子さんが悩みを打ち明けられるきっかけにもなるかもしれません」