無名の若者たちが番組を通じて成長
『電波少年』には危険な衝撃もあれば、ポジティブないい意味での衝撃もある。坂本ちゃんは番組を通じ、憧れのアーティストとの邂逅を果たした。
「小テストで100点を取るといろいろなものをもらうことができるルールで、あるときは昔から大好きな槇原敬之さんのCDアルバムをゲットできたんです。そこで、槇原さんの『遠く遠く』という曲を初めて聴いたんですね。
久しぶりに耳にする音楽だったのもあって、曲が始まった途端、感動の衝撃で号泣してしまいました。それからは、番組で事あるごとに『マッキー、マッキー』と言うようになりましたね。『電波少年』の挑戦企画って、有名なミュージシャンが応援歌を作ってくれたじゃないですか。
だから、アピールしていたら槇原さんが曲を作ってくれるかなあと思っていたんですけど、ずっと部屋の中にいたから槇原さんが(覚醒剤取締法違反で逮捕後に)謹慎中だったことを知らなくて。でも、その後にコンサートに呼んでいただき、『レコード会社よりも僕のことを宣伝してくれてありがとうございます』とお礼を言われました。
実は、勉強中に槇原さんが復帰アルバムを出されて、そこに収録された『Ordinary Days』という曲には『ちょうど蝉が鳴き始めた』『賢くなって自分を守れ』という歌詞があるんです。今でもあの曲は私に対しての応援ソングだと思っています」(坂本ちゃん)
無名のタレントが一気にスターダムに上り詰める現象が『電波少年』ではよく起こった。つまり、ビッグな芸能人との接触が激増するということ。ヒッチハイク旅を終えて帰国した朋友の伊藤は、激変した環境の中である失敗を犯している。
スターとの遭遇で混乱も……
「ドラマの衣装合わせで日テレに行き、ひと通り終えて外に出たら中森明菜さんがニコニコしながら僕に『おはようございます』って挨拶をしてきたんです。でも、あまりに突然のことに僕は『あっ、どうも……』と言っただけで立ち去ってしまったんです。
でも、後でよくよく思い返したら明菜さんが『電波少年』にゲストで出たとき、電話でお話ししているんですよ。それを明菜さんは覚えていて、僕を見かけたから衣装合わせが終わるのを待っていてくださったんです。
でも、僕たちは必死で旅をしていたし、明菜さんとお話しさせていただいたのは旅が始まってまだ3~4回目くらいの序盤だったから、そのことをすっかり忘れていて。『あれ、なんで明菜さんが僕に挨拶してんの!?』と混乱してしまったんです。
すごい失礼なことをしてしまったと、後で事務所を通じ謝罪の連絡を入れさせていただきました。明菜さんもいろんな仕事をされていて、いろんな人と会うわけじゃないですか。でも、僕と電話したことを覚えてくださっていた。
改めて、明菜さんのことを尊敬しましたね。逆に感謝を忘れている自分がダメだなと思いましたけど(苦笑)。『芸能人はこうあるべきだ』とあのときに教わりました」(伊藤)