被告の年齢が収監の壁に
さらには実刑が確定しても、刑務所に入らないという話も。別の弁護士は、こう説明する。
「被告の年齢が収監の壁になるのではないかと言われています。刑事訴訟法第482条には、懲役、禁錮または拘留の言い渡しを受けたもので刑の執行を停止できる条件に“年齢70歳以上であるとき”とある。飯塚被告はこの条件を満たしています」
70代以上で刑務所に入る人も少なくないが、
「90歳になってから収監されたという前例がないんです。役所は前例がないことをやりたがらないものですから。法務省が判断するので、どうなるかわかりませんが、刑務所に入れないという判断をすれば、世間が黙っていないですよね」(同・前)
2人の尊い命を奪っておきながら、一度も自由を奪われない。そんなことが本当にあってよいものなのか──。前出の高山弁護士は“それはありえない”と断言。
「有罪になれば、年齢に関係なく基本的には収監する方向になるでしょう」
だが、いったん収監されたとしても……。
「被告が“高齢であること”がネックとなってくるでしょう。被告側から医師の診断書付きで“重篤な病気であること”を訴える上申書が提出されれば、すぐにでも釈放される可能性があります」
今回の公判で、飯塚被告と真菜さんの父・上原さんにこんなやりとりがあった。
上原さん「事故から何年たったか、わかりますか?」
飯塚被告「2年です」
上原さん「(その間)あなたはどう生きてきましたか?」
飯塚被告「自分の持病を治したり、事故からのリハビリに専念したりしていました」
自分の身体のことしか考えていない飯塚被告の答えに、上原さんは憤りを感じたという。過去の公判でもパーキンソン症候群の疑いがあることを訴えるなど、被告は“自身の体調不良”をアピールしている──。いつまで遺族の感情を逆撫でする“悪あがき”をし続けるのだろうか。