亡くなった人の念より怖い“人間の闇”
こうした物件は相場より2〜3割安く取引されることが多いという。安価だという理由で、あえて事故物件に住もうと望む人はいるのだろうか。
「よくあるのが派遣会社などが借り上げている寮で、入居者はそこが事故物件だと知らないケースがあります。多くは県外出身者で隣近所との交流も少ないので、以前何があったのか知らない。知らずに住んでいる人はいます」
前述のとおり自殺などが起こった物件は必ず借り主や買い主に告知する義務があり、借り主や買い主が代わっても告知は必ず行うことになっている。
だが、告知されず価格も相応であれば事故物件だとは知る由もない……。
悪質な業者などは事故物件と知ったうえで安く借り上げ、入居者に知らせることなく相場の家賃で住まわせることもあるとか。亡くなった人の念より怖い人間の闇が垣間見えるようだ。
ただ、かつての日本では老衰や病気など、自宅で亡くなることが一般的だった。
だが、これを事故物件と言っていいのか。事故物件に対する心理的な線引きが難しいのも事実だという。
「告知義務でガチガチに縛ってしまうと、今度は経済的な理由で施設に入れない高齢者の住む場所がなくなるという社会問題にもなりうる」
だが、告知してほしいのは、その部屋で誰かが亡くなったことだけではない。
「とんでもないクレーマーが住んでいるとか、近くで毎晩、毎晩どんちゃん騒ぎをしている人がいるとか、一度内覧に行っただけではわからない瑕疵もありますから……」
こうした物件にあたってしまってはひとたまりもない。ましてやそれが持ち家にでもなってしまえば、一生後悔することになるだろう。
事故物件を回避するためのポイントは
回避するためには、具体的にはどのような方法があるのだろうか──。
「とにかく業者の言うことを鵜呑みにしないこと。掘り出し物みたいな安い物件はまずないと思ったほうがいいでしょう。近隣の相場からみて価格が安いのには理由がある。その理由を突き詰めて、納得したうえで借りたり購入したりするといいはずです」
瑕疵物件とは言われなくても怪しいと感じることがあれば、朝・昼・晩と時間帯を変えて現地を訪れるといい。
「ゴミが散乱しているような物件は、何かあっても業者が対応しないなど管理が行き届いていない可能性があります」
あらかじめ事故物件と知らされている物件については「事故後、入居者が何人住んだか、それぞれがどれくらいの期間住んでいたか」、「本当にきちんとリノベーションされているか」などを確認してほしいとヒロさん。