専門家が指南!「更年期夫婦」イライラ解決の処方箋
☆松下先生が教える! 家庭でできる男性ホルモンにいい習慣
●寝ている間にチャージ! 質のいい睡眠をとる
テストステロンは寝ている間に回復するので、寝不足はタブー。「寝る数時間前にはシャワーでなく入浴をするようにして。心身ともにリラックスできてストレスや疲れが緩和されます。副交感神経も優位になり、ぐっすり眠れるはず」(松下先生、以下同)
●リラックスできるかがカギ、家庭を心休まる場所に
自律神経の乱れはテストステロンの分泌を抑制する原因に。自宅は副交感神経が優位になるような、リラックス空間でありたい。「夫は妻や子どもとコミュニケーションを心がけ、妻はイライラをぶつけず、夫にストレスをかけないよう配慮を」
●いちばんのおすすめは運動、新しいことにチャレンジを
「テストステロンは冒険心を起こすホルモンなので、新しいことに興味をもって積極的に取り組むと分泌を保つことが」。もっとも手っ取り早い方法が運動。ひと駅分歩く、エスカレーターではなく階段を使うなどして活動量を増やして。
●やせ形でも危ない、生活習慣の変化に注意
やせ形でも、急に太ってきた場合や、以前と比べて運動量が激減しているなら要注意。「生活習慣の悪化によって、テストステロンにも悪影響が。特に糖尿病の人は、それだけでホルモン値が下がるので、治療に専念を」
●趣味や社会的役割をもって人生を楽しもう
目標を達成したり、周囲から「すごいね」と評価されると、テストステロンの分泌が増えて健康が促進される。「仕事や趣味、日課でも何でもいいので日々の暮らしに目標を持つようにして。いくつになっても楽しんで生きることが肝心です」
☆黒川さんおすすめ! 更年期夫婦の円満8か条
「男女は脳の働き方が違うので、イライラしたり、すれ違うのが当たり前」と黒川さん。更年期症状に加え、男女の脳の違いから導き出した円満の秘訣、知っておいてソンはなし。
●50歳前後の夫の変化は一時的なもの、と大目に見る
元気がなくなりイライラする原因は男性ホルモンの低下。やがて安定する。
●家庭の中で夫の責務をつくり、妻は一切、手を出さない
男性脳は与えられた責務を果たし感謝されることに大きな喜びを感じる。
●外出の予定は繰り返し何度も伝えておく
予期せぬ妻の行動は夫のストレスのもと。男性脳を弱らせ、免疫力を低下させる。
●更年期で具合が悪いときは具体的に伝えて、夫を頼る
男性脳は半径3メートル以内の出来事になかなか気づけない、と知っておく。
●毎日の「いってらっしゃい」と「お帰りなさい」は同じトーンで
変化のない日常的なルーティンに男性の小脳は刺激され直感も冴える。
●結論や目的から先に言う。「ポイントは○つ」と数字を使う
結論の見えない話が延々と続くと男性脳はイライラし、疲弊する。
●夫の言葉を裏読みしない。多くの場合、裏はない
「おかずはこれだけ?」と言われたら「そうよ」とにこやかに答える。
●共通の趣味を1つと、別々の趣味を1つ以上持つ
60~70代を、適度な距離感で穏やかに過ごすための布石を打っておく。
(取材・文/樫野早苗)
黒川伊保子さん
脳科学・人工知能研究者、感性アナリスト。30年以上にわたり人工知能の開発に携わり、脳と言葉の研究を究める。『定年夫婦のトリセツ』(SBクリエイティブ)など著書多数。
松下一仁さん
順天堂大学医学部附属順天堂医院泌尿器科准教授。男性ホルモン低下に伴う更年期障害、性機能障害などのメンズヘルスが専門。排尿機能・性機能障害に対する治療を積極的に取り組んでいる。