高齢者・女性は注意して!

 健康な大人が、水分補給しながら無理なく利用するのであれば、サウナの危険性はさほど高くない。しかし、高齢者と女性に限っては十分な注意が必要だ。

「高齢者は自律神経の機能が低下しており、暑さや寒さへの感度が鈍くなっています。真夏にエアコンのない部屋で、高齢者が倒れるケースは後を絶ちません。身体にそうとうな負担がかかっていても、高齢者はそのつらさを感じることができず、気づかぬうちに限界を超えてしまうのです。サウナでも同様の状態に陥る危険性があります」

 また、女性は男性よりもサウナの影響を受けやすいという。

サウナに入ると交感神経が活性化し、男女ともにホルモンの働きが活発になります。これまでのデータでは女性のほうがホルモン数値の変動が大きく、いい影響も悪い影響も男性より強く受けやすいことがわかっています。実際に、朝晩1日2回、毎日1時間ずつのサウナ利用を1週間続けた女性は、7人中5人が月経不順になるという結果となりました」

 これは、サウナ利用で活発に分泌される「プロラクチン」というホルモンの影響による。

「プロラクチンは、出産後の女性が母乳を出すために欠かせないホルモンです。授乳中に月経がないのはプロラクチンのはたらきによるものですが、過度なサウナ利用でも、同じような状態が起きてしまうのです」

 ただし、これを簡単に防ぐ方法がある。

サウナでは、タオルで顔を覆いましょう。人は身体中に熱を感知するセンサーがあり、いちばん敏感に反応するのが顔。そのため、この部分を覆って熱の刺激から守るだけで、ホルモンに対する影響が大幅に抑えられるのです」

 サウナへの適応がしづらい高齢者と感度の高い女性は、できるだけ身体へ負担をかけない利用法がおすすめだ。

サウナには、大きく分けて乾式のドライサウナと、湿式のスチームサウナやミストサウナがあります。乾式はカラカラに乾燥してつらさを感じやすいため、高齢者や女性には湿式をおすすめします。とはいえ、湿式でも室温と湿度が高いほど、身体への負荷も大きくなります。サウナ=ガマンは間違いです。決して無理せず、気持ちいいと感じる程度でとどめましょう」