4. 今必要ないモノは未来でもいらない
リサイクルショップに不用品を売る目的とはなんだろうか。もし片づけるだけだとしたら、0円でもいいので引き取ってもらうほうがいいと森さんは断言する。
「なぜならモノを減らすことはとてもエネルギーを使います。そのエネルギーが自分にあるうちに、処分をスピーディーに行ったほうがいい。でも、少しでも高く売りたい、元を取りたいと欲を出すと、たちまち処分のスピードがダウンしてしまいます。フリマアプリも同様で、かなりマメな人でないと早く処分できません」
今必要でないモノは未来ではもっと必要なくなる、今必要でないモノを残すと未来の負担になると森さんは断言する。
「今は『買う』より『捨てる』ほうが難しくて、値段も高い。粗大ゴミを出すことは1人では難しいですし、ゴミ袋が有料の地区も増えています。モノにいっぱい囲まれる暮らしは、もはやぜいたくではありません。反対にスッキリとした空間で暮らすことのほうがぜいたくという感覚に変わっています」
森さんはモノが少ない暮らしをしたら、モノを持ちすぎていた時代には重かった心身がフワッと軽くなったそう。今必要なモノだけを買う。単純なことだが、これも無駄な出費を減らして貯金を増やす大事なコツなのだ。
5. 「何歳だから~~すべき」という考え方は持たない
親の世代の生き方や価値観に今の自分の生活を当てはめて考えないことも、シンプルライフを送るコツ。特にかつての「世の中総中流」という金銭感覚は役に立たないと心得よう。
昭和の常識は平成の非常識、令和の今は旧来のステレオタイプな考え方を押しつけると、一種の暴力と受け止められてしまうかもしれない。
そんな価値観のアップデートのためにおすすめなのが、あえて自分とは関係のなさそうな情報を仕入れてみること。例えば、10代向けの雑誌や記事に目を向けてみるのがおすすめと森さんはいう。
「若い子向けの本を読むと、新しい気づきがあってとても面白いのです。その反面、大切にしているものは自分が若いころと変わらないと感じます。こんな自分の心の揺れを観察できますし、それを大切に思えるのがいいところ」
「もう歳だから」と考えたり、周りの人と比べたりせず、自分の気づきに正直に生きること。それがミニマルに暮らすコツかもしれない。
6. 贈答品は“現金”
モノで贈るにこだわらない
昭和や平成の時代にはマストだったお中元や御歳暮を贈る習慣。これらは主にモノのやりとりが多いが、もし相手にとってそれほど欲しくないモノを贈ったら、置き場所や使い道に困ることもある。
「モノのやりとりはなくしてもいいと思っています。私はお茶を習っていますが、お茶の先生は2人暮らしなので、たくさんの頂き物は使い切れないのではと思いました。だから、現金にさせていただくことを先生に相談し、以来現金をお渡ししています」とのこと。
もしモノのやりとりをやめることで付き合いが切れるのであれば、それはそれで仕方がないとキッパリ。
「反対に『あなたがくれる桃を楽しみにしている』と相手が言うのであれば、そのトキメキを大切にするべきでしょう。もし、桃を贈るための予算がなければ『今年は贈れないけれど、来季は贈りたいです』など、臨機応変に対応するのもいいと思います」
相手の状況を慮りながらも、世間のやり方と同じにすべし、という既成概念から解き放たれる。その度ごとに調整すると無駄がないし、やりとりも楽しくなる。
「現金は置き場所にも困らないし、いつか必要になるときがくる。相手が欲しがらないモノにお金を使うより、生きたお金の使い方だといえます」