3世代から支持された『相棒』
そして3世代ともに上位にランクインしたのが『相棒』(テレビ朝日系)。'00年6月から'01年11月にかけ単発ドラマとして放送され、'02年10月から連続ドラマとしてシリーズ化。現在は『season19』まで放送されている。
「これまでの定番刑事ドラマではなく、社会的な問題や官僚や政治家の陰謀などが絡んでくるストーリー展開が面白い」(愛知県・45歳女性)
「複雑なストーリーと、緻密に練られた推理。そこにコミカルなところもあって、物語のバランスがすごくいいと思う」(千葉県・53歳女性)
「シリーズによっていろいろな“相棒”がいたけれど、及川さんが演じたときの右京さんとの掛け合いが最高でした」(神奈川県・56歳女性)
「派手ではないが、事件を解決するだけではなく、事件の背景にある深い問題がテーマになっている。2人組の刑事の関係性も楽しい」(石川県・66歳女性)
「近年で“バディモノ”の人気を確立させるきっかけとなった作品ですね。そのバディも、水谷豊さん演じる頭脳派の右京と、寺脇康文さん演じる肉体派の亀山から始まり、次のシーズンだと右京と同じ頭脳派の及川光博さんの神戸が登場したり。
それぞれのシーズンで活躍する“相棒”との相性の違いも面白く、1話1話がよく練られた脚本なので見応えがあります」(田幸さん)
またその脚本が、なぜそこまで練られているかについて、田幸さんはこう続ける。
「『相棒』は基本、1話完結でいろんな脚本家の方が書かれています。ある意味、脚本家同士で競い合っているような部分があるのではないでしょうか。視聴者でマニアの方は、脚本家の誰々の回は当たり、といった見方をしている人も多いと聞きます」
『踊る大捜査線』の魅力
同じように3世代でランクインしているのが『踊る大捜査線』(フジテレビ系)。'97年1月から3月まで放送。その後シリーズ化され、映画や舞台にも展開。織田裕二が演じる主人公の青島を取り巻く、個性豊かなキャラクターにスポットを当てたスピンオフ作品も数多く制作された。
「音楽、キャスト、内容とすべてが面白かった。いかりや長介さんが演じた、和久さんがいい味を出していた」(大阪府・49歳女性)
「今までの刑事ドラマと違って銃撃シーンが少なく親近感のある内容で、登場人物も癖があって面白かった」(神奈川県・53歳女性)
「人情あふれる熱い捜査員で、周りの同僚とともに事件解決していく姿に引き込まれました」(茨城県・51歳女性)
「現場の意見が上に通らなくてヤキモキするところは、どの業界でも同じなんだな、と思った。青島の一生懸命なところが好き」(東京都・61歳女性)
田幸さんは『踊る~』について、いわゆる“ザ・刑事モノ”のドラマとは一線を画していると語る。
「『踊る~』については、刑事モノが好きではない人もけっこうハマっていたという印象があります。ドラマの中で刑事の日常業務の煩雑さや、警察組織というものを描いていました」
脱サラして刑事になった青島に対し、深津絵里が演じる同僚の恩田すみれが放ったセリフがこのドラマを象徴していると、田幸さんは言う。
「“刑事はヒーローじゃない、公務員よ”みたいなことを言うんです。そういった日常業務に追われる公務員としてのしんどさや、キャリアとノンキャリの扱いの違いという二重構造を見せたり。単なる犯人を捕まえるという部分だけではない、組織としての警察をうまく物語の中に落とし込んでいました」
そんな『踊る~』、実は企画段階ではまったく違う設定だったという。
「初めは、もっと恋愛要素が強かったそうです。ただ、同じクールで放送するフジテレビの恋愛ドラマと被るということで、大幅に企画を変更してみなさんが知っている『踊る~』になったんです。結果として、刑事ドラマの新しい形になり、この路線変更は今思えば大当たりですね」(田幸さん)