もう少し上位に入るかなと思っていた、と田幸さんが首を傾げたのが『古畑任三郎』(フジテレビ系)。第1シーズンとして、'94年4月から6月まで放送。総集編を挟み、'99年の第3シーズンまで続いた。
田村正和さんの“古畑シリーズ”
「田村正和さんの独特のセリフの間や、毎回変わる豪華俳優陣のインパクトがすごかった」(東京都・44歳女性)
「古畑任三郎の人柄と、犯人を追い詰めて、じわじわと真相に近づいていくところ」(東京都・52歳女性)
「なんといっても田村さんのキャラクター。とぼけた感じなのに心理作戦で犯人を追い詰めるときの鋭い眼光がさすがとしか言いようがない。あと、部下である西村雅彦さん、石井正則さんの個性もうまくマッチしていたと思う」(大阪府・65歳女性)
田幸さんも、脚本とキャスティングのマッチングが素晴らしいとしつつ、その魅力を語る。
「最初に犯人は誰です、と明かしてしまう“倒叙モノ”と言われる形式です。『刑事コロンボ』と同じ描き方です。最初に犯人を明かしてしまうからこそ、犯人が古畑に追い詰められていくさまに人間の悲しさなどが見えてくる。
メジャーリーガーだったイチローさんが本人役として犯人を演じたり、松嶋菜々子さんなど豪華なメンバーをそろえていました。その出演者らしさを犯罪のスタイルに取り入れ、いい感じに脚本に組み込んでいました。さすが、三谷幸喜さんというところです」
第3シーズンのあと、スペシャル、ファイナル、『古畑中学生』と単発で放送された。そして、'20年に三谷が新聞紙上の連載で新作を発表。「条件がそろえば、映像版の古畑の新作を書く準備はできている」と田村さんにメッセージを送ったのだが、'21年4月に田村さんは帰らぬ人に──。
彼の死を受け三谷は、「古畑任三郎が事件現場に帰ってくることはもうない」というコメントを発表した。
「寂しいですよね。私の中で刑事ドラマの役者さん、といえば田村正和さんで、古畑任三郎なんです。あのキャラクターに至るまで、田村さんは2枚目で女たらしという路線からコメディーをやったりして、最後に古畑という唯一無二のキャラクターを作り上げたのだと思います。
田村さんのそれまでの歴史が詰め込まれたのが古畑であって、まさに集大成。田村さん以外に古畑を演じる人は存在しませんから、新作ができないというのは残念ですが仕方のないこと」(田幸さん)
『MIU404』がランクイン!
ランキングの中で、田幸さんがいちばん意外だったことが、60代に『MIU404』(TBS系)が支持されたことだという。
「若い刑事のバディの掛け合いや、そのふたりの友情が描かれていてよかった」(東京都・63歳女性)
「出演者それぞれの個性が、演じている役柄とマッチしていたと思う」(高知県・65歳女性)
「星野源と綾野剛という実力派のダブル主演で、安心できた。あと、メロンパン号がかわいくて印象に残っています」(秋田県・60歳女性)
「30代から40代の女性がメインの視聴者層だと思っていたので、60代に人気があるとは……。脚本家の野木亜紀子さんをはじめ、『アンナチュラル』チームが再結集。主演のふたり、伊吹藍を演じた綾野剛さんと、志摩一未を演じた星野源さんの演じる力というのもあると思います。
まさに現実で起こっている社会問題や、後に起こる出来事をまるで“予言”のように取り上げたことも話題になりました。違法ドラッグや外国人の労働問題──。タイムリーな時代性と重なってくる部分も注目されていました」