ただ、彼女の未来が順風満帆だと予想する人はそう多くないのでは。筆者が不安を覚えるのも、結婚会見の様子からある伝説的芸能人のことを思い出したからだ。元祖アイドル、天地真理(69)である。

真理ちゃんと朋ちゃんの共通点

 1970年代前半、オリコン1位曲を連発して「白雪姫」の愛称で親しまれた真理ちゃん。その大ブレイクは四半世紀後にJポップの「シンデレラ」ともてはやされた朋ちゃんとダブる。そして、天地もまた、心身の調子を崩し、奇行が取り沙汰されるなどしたあと、入院して休養することに。その後、復帰しても全盛期の人気はなかなか戻らなかった。

 ただ、'86年に実業家と結婚して娘を生んだあと、バラエティーで再注目。いじられキャラのママタレとしてけっこう面白がられた。夫婦生活は10年で破綻したが、離婚会見時のふくよかな容姿をイジられたことからダイエットをして、それも話題になったものだ。

 離婚直前、筆者が取材した際にはカメラマンに向かって「悪かったわね、こんなになっちゃって」と冗談で笑わせたり。その開き直った明るさも、最近の華原と重なるのである。

 ちなみに、天地を育てた酒井政利プロデューサーはスターの条件として「幼児性とファナティシズム」を挙げている。要するに、子供っぽさと何かに熱中できる一途さということだろう。そのあたりも天地と華原は共通している。そんなスターとしての抜群な適性が、実生活にも向いているとは限らないというのが難しいところ。それゆえ、華原の未来にも不安を覚えてしまうわけだ。

 とはいえ、結婚会見で華原はデビューからの日々を振り返り、こう語った。

26年間の中でいろいろなことがあって、でも今はすべて幸せに思える自分が生まれました

 そんな気持ちでこれからも生きていければ何よりだ。ここは月並みながら「末永くお幸せに」というはなむけの言葉を贈りたい。

PROFILE●宝泉薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。