親権者の変更は条件により可能
親権を手にした有名人パパを振り返ると、跡取りが必要な家系が目立つ。強大な権力の前では母親も手出しができず、泣き寝入りを余儀なくされるというわけだ。ただし、
「1度親権が相手側に渡ったとしても、両者の話し合いまたは裁判所の決定により、親権者を変更することは可能です」(高橋弁護士)
親権の取り戻しという手段に訴える道もあるのだ。安室奈美恵がその例で、離婚時は父親のSAMに親権があったが、3年後に安室が申し立てを行い、親権を獲得している。
安室の場合、SAMが多忙なことと、彼が再婚することが変更の理由だった。しかし一般に親権者変更申し立ての理由になりうるのが、親権者側に虐待や精神疾患、経済面などの問題が発覚した場合。さらに離婚時の状況も申し立ての要素のひとつになるという。
「夫のDVに妻が完全に支配された状態で別れ、強引に親権を奪われるケースがままあって。こうした場合は是正を認める余地はあるでしょう」(高橋弁護士)
このケースは問題が根深く、いざ訴えても解決が困難な側面も。高橋弁護士はこう続ける。
「元夫が怖くて申し立てまで時間がかかってしまうと父親との生活に子どもがなじんでいることがある。例えば小学生なら転校させるのかという話になり、最初は父親が強制的に得た親権だとしても、裁判所として介入する状況ではないという判断になりえます」
親権を決める必要があるのは19歳までの未成年。婚姻中は父母の双方が親権を持つが、離婚時はどちらかを親権者として離婚届に記載する必要がある。親権が決まらなければ離婚もできず、親権の行方は話し合いか、決着がつかなければ裁判所の判断を仰ぐことになる。
「親権が一方に渡ると、もう一方が子どもに会える日=面会交流が双方の話し合いにより決められます」(池内さん)
ただこれもすんなりとはいかないようだ。
「母親が親権者になると父親と子どもの面会は比較的穏やかにいくが、父親が親権を持つと母親は子どもにほとんど会わせてもらえなくなるのが実情です」(池内さん)
どちらか一方が全親権を持つのが通常の例。ただ芸能界では、財産管理権を父親、監護権を母親が持つことで決着をつけた雛形あきこのケースもある。
「一般の方にもこうした判断をされる人はいます。ただ裁判になった場合はまず分散させず、一方に親権を与えます。そもそも夫婦関係が悪いから離婚するわけで、権利を分けると結局のところまた揉める。一方が管理したほうがトラブル回避になります」(高橋弁護士)