別の場所へ。

一番人気はバーベキュー

 地方から上京した都内の大学1年Cくん(19)夏休み中、実家に帰ることをあきらめた。両親から「帰ってきちゃダメ」と言われたという。故郷の友人が東京に遊びにくる予定もあったが、コロナの感染拡大で取りやめになった。渋谷のクラブにも行かず、原宿・表参道に洋服を買いに行くのもやめた。

「自分自身はコロナをそんなに怖いと思っていないけど、万が一、感染してだれかにうつしてしまうのは避けたいから」(Cくん)

 繁華街に行けば、コロナどこ吹く風で遊んでいる若者がいるが、その陰で我慢している若者もいる。

 この夏、楽しかったのは友人とバーベキューに行った日のこと。

「少人数で密にならないように気をつけました。反省点は肉が足りなかったことです。もうちょっと買っておけばよかった」

 とCくん。

 実はこのバーベキュー、さまざまな10代に話を聞く中で「いちばんの思い出」として挙げる例が最も多かった。屋外かつ実施できる場所がふんだんにあり、都県境をまたがずに済むからだろうか。

 都内の高校3年Dくん(18)も家族とバーベキューに行った。

「お肉はフツーにおいしかった。海鮮もエビとかサザエとかおいしかった。でも、もうちょいはしゃぎたかった。ほかの客もいたので声のボリュームをおさえなければならず、開放感があまりなかった」(Dくん)

インスタで引退報告する友人に

 高校生最後の夏休みにやり残したことはなかったか。

「残念だったのは、部活動をやっている友だちの最後の試合の応援に行けなかったこと。無観客試合になってしまったから。ふだん部活動を頑張っている姿を見ていたので応援したかった。引退報告するインスタグラムを見て“おつかれさま”と書くしかありませんでした。どんな試合でどう活躍したかはわからない」(Dくん)

 素顔をよく知る同級生が、ふだん見せない表情で懸命にプレーしたであろう様子は、もはや想像に頼るほかない。東京五輪とは異なり中継されないから、テレビ観戦するわけにもいかなかったという。