宮城県気仙沼市の亀島で育った百音は、森林組合で働き、山と樹木について学ぶうちに気象にも興味をもつ。海で育ち、山を知り、すべては気象とつながっているからだ。さらには災害から大切な人を守りたいという強い気持ちも根底にある。
気象予報士の資格をとって、現在は東京で働いているが、モヤモヤの偏りが空回りしているところ。同じ気象予報士の同僚(今田美桜)から「なんかちょっと重いよね。人の役に立ちたいとかって結局自分のためなんじゃん?」と言われる始末。
時折、百音がムキになって見せる表情には、厄介な一本気というか青臭さを漂わせる。それこそが未完の魅力のひとつでもある。この後、仕事に恋に、そして無力感やアイデンティティはどうなることやら。心配でもあり、楽しみでもある。
おとなしくないモヤモヤ
きちんとそろった前髪、サラサラと風にそよぐ長い黒髪。おとなしくて聡明で優秀な女子感を醸し出す清原だが、まあ、生意気でこまっしゃくれた思春期を画面いっぱいにぶつけてくるときもある。
『俺の話は長い』(2019年・日テレ)では、主人公(全力で働かないニート・生田斗真)の姪っ子役。理由なき反抗で不登校になっていたが、母(小池栄子)の実家で一時的に仮住まいを始めてから急に学校へ行き始める中学生だった。
ニートの叔父(生田)、元ヒモで急に会社をやめた父(安田顕)、多忙なキャリアウーマンで案外ゲンキンな母(小池)、喫茶店を営む優しい祖母(原田美枝子)とともに過ごし、思春期のモヤモヤを少しずつ咀嚼していく役どころ。冷めた視点で家族を見つめるも、カニが大好物で食欲だけには忠実。幼さを残しつつも、家族内で最も達観を見せた。親からすれば、子供の思春期は「欺く側から欺かれる側へ」の端境期。ちょうどその地点を演じた清原がしっくりハマっていた気がする。
口の減らない生田と小池が、基本的におとなげなく、しょうもないことで姉弟喧嘩になる展開はもはやセッション。手練れが繰り広げるテンポのよい会話劇に、清原は不可欠な存在だった。ヤスケンとの父娘関係も「大好き、パパ!」みたいな嘘くさい甘ったるさは1ミリもなく、ちょうどよい距離とそれぞれの沽券を保ったままで展開。清原は数多いる10代の女優の中でも最高に適役だったと思う。